日本経済新聞で大手元売社長のインタビューが掲載されていました。やはりSSをどう考えているか関心がありました。こう述べています。
「18年末からはコインランドリーの併設を始めたが、ほんの手始めにすぎない。完成形は考えず、できたサービスから投入していく。(来店客が訪れやすい好立地が多い利点を生かして)様々な生活関連のサービスを提供する企業に変わる」
日経の記事のままです。この文章には「主語」がありません。“生活関連のサービスを提供する企業に変わる”の主語(企業)が誰なのでしょうか。本来は系列特約店が主語になるはずです。
しかし、ここにあるコインランドリーはFCチェーンです。文言を読めば特約店契約書の実態は、コンビニ同様に「FC契約書」です。だからFC店にFCの屋上屋を重ねるという政策になります。
過去のFC店トラブルを重ねて精緻に構築されたコンビニFC契約ですが、今もなお様々な紛争を抱えています。ひるがえってコインランドリーってFC加盟する必要があるのでしょうか。加盟料を取る意味が理解できません。
というのも、COCの田舎の中小企業が独自にコインランドリーを立ち上げて、そこそこの収益を得ているからです。水道管が走っている土地であれば、構造物にほとんど規制が入りません。この業界には「業界法」が存在しないからです。LPGを扱ってガス配管と家庭用の工事技術を持つ会社であれば洗濯機を除けば店舗工事のかなりの部分を内製化できます。
ノウハウがあるとすれば、立地以外では洗濯機のメンテナンスと店舗のクレンリネスが中心です。わざわざFC加盟する必要などないのです。
中小企業が内製化できる事業にFCのFCを重ねる考え方が理解できません。決して大儲けできる業態ではないのに、元売が中間に入れば“紹介料”といった中間搾取が発生するはずです。それなら系列店は直接FC本部と契約した方が話は早いでしょう。
元売が次世代SS業態のメニューに提示しているのは、コンビニ、コーヒー店、ピザ店などいずれもFCチェーンです。元売独自に立ち上げた事業は、私が知る限りコスモ石油の個人向け新車リースだけです。
しかし、個人リースも整備工場を構えてカーケアをやっている会社なら中小企業でも商品化できます。やはりCOCで田舎の複数の中小企業が独自に立ち上げて収益事業にしています。
ことさら元売の悪口を言うつもりはありません。元売は昔の元売ならずという現実を理解する必要があります。
自由化以前の元売は、事業の組み立てが代理店任せの杜撰で失敗の死屍累々であっても、SS流通分野で独自に何かをやろうと試みていました。米国のパテントでしたが共同石油のampm、日本石油のN―shop、出光興産のプリテールなどコンビニを始め、クイックルブの試みもありました。元売としてガソリン集客とSS収益の新機軸を作りたかったのだと思います。
しかし現在は、ガソリン集客は立地・設備・価格のセルフで決まりです。その他の収益機能はなんらかのFCを併設すれば事足りる、と考えているように思えます。それは元売にとって良いことでも、系列店にとって良いことなのかはなはだ疑問です。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局