凄惨な京都アニメの放火事件です。ガソリン蒸気の爆炎が瞬時にあらゆるものに引火したのでしょう。有為な人たちが33人も道連れです。アホな放火犯の防止策に、SS店頭で“ガソリン使うなら1人で死ね!”と告知しましょう。
さて、非化石燃料いう言葉が出てきてから、優先順位とか原理原則が無視されて言葉が独り歩きしているように思えます。希望的観測が満ち溢れながら、現実や合理性と乖離しているように見えてしまいます。
2、3年前に、欧州各国政府が一斉に、2030年までに新車の80%をEVにすると発表しました。EVと聞くとリーフやテスラを想像しますが、彼らの言うEVにはハイブリッドも含まれています。また、EVの電源も天然ガスが主役です。すなわち化石燃料あってのEVです。
なにより、EVの中枢機能である電池の開発が発展途上です。固体電池の能力は理解されても、いつ実用化されるのか目途は見えません。もちろんEVというキーワードで様々な派生技術が進化しているので、画期的なものが出てくるのでしょう。しかし、構想と現実に大きな乖離があります。
これも欧州で「ダイベストメント」という言葉が登場しました。ファンドなどが化石燃料関係企業への投資を控えるという考え方です。環境保護派にとって耳障りの良い言葉ですが、それほど化石燃料は悪者なのでしょうか。
京都議定書の頃から、欧州人には中世に行った「魔女狩り」の集団ヒステリーが、「環境問題」という新しいターゲットを見つけてぶり返しているのではないでしょうか。
エネルギーを原理原則で考えれば、化石燃料=石油の価値に敵うものはないと思います。原理原則とは私の定義ですが
①カロリー、②安定供給、③価格、④多様性、⑤安全性、⑥環境対応です。
全ての条件を満たすエネルギーはありません。総合的に評価することになりますが、石油の優位性は揺るぎません。
いくらCO2排出量が小さくても、万民が恩恵を受けられるだけの火力がなければエネルギーとは言えません。暴論のそしりを恐れず言えば、「太陽光パネルを置く土地があるならジャガイモ植えろ!」です。イモは立派なカロリー源です。安定供給され、利用範囲は多様性を持ちます。
そして石油製品にも優先順位があります。ランキングすれば、最下位がガソリンです。ガソリンエンジン車を走らせるだけです。
対して中間品は、農家の機械から漁船のエンジン、ディーゼル発電、ディーゼルポンプ、建設工事もみなヤンマーですから。航空機を飛ばし、乗用車やトラックも走らせます。
重油はIMO規制で悪者扱いですが、世界の貿易を支えます。ガソリン車も大型船舶なしに輸出できません。
しかし、一番価値があるのはナフサです。10万種類とも言われる化学製品の原料です。今、韓国政府が日本の輸出管理強化で大騒ぎしています。その中心にあるのはフッ化水素など3つの小さな電子素材です。それが韓国経済の生殺与奪の権を握っているのです。
際限なく化学反応を繰り返す石油化学は、日本人向きの産業でもあると思います。家庭用品、繊維、製薬…石化製品なくしてスマホもノートPCは存在し得ません。
FCVは、一番役立たないガソリンの代替に水素をただ燃やすだけです。水素は中間品や石化反応促進の貴重な基材でしょう。FCVを作るヒマがあるなら、さらなる高燃費エンジンを開発した方が、現実的で合理的なCO2削減策ではないでしょうか。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局