油業報知新聞にJXTGの直営SSにドトールの新業態併設が紹介されていました。旧エッソが2002年頃に提携して、90カ所ほどドトール併設店があると思います。閉鎖やセブンイレブン転換があって、やや減少傾向にあります。
ドトールは客単価が300円強と決して高くないので、回転が損益のカギを握ります。都市の繁華街によく見かけるのも客数を見込めるからでしょう。私の近隣に2カ所のドトール併設店があります。SS併設の場合、回転が悪そうです。しかし居心地が良いのか、試験シーズンになると数時間粘る人が少なくありません。(実は私も長っ尻なので顧客を観察しています)
油業報知新聞に紹介された業態は、フード類を充実させて客単価の高い設計になっています。大部分が自動車来店客に限定されるので、客単価を上げてSSの利益業態にする考えと思われます。
セルフSSも1万カ所の時代に入って、セルフだから売れる時代は終わっています。元売は今後、様々な既存小売業態をセルフSSにマッチングさせる動きを強めるでしょう。
元売レベルだと、認知度の高いFCブランドとの提携になります。コンビニ、コーヒー、ピザなどが現れています。コンビニは元売だけで200以上あるはずです。
毎年、ジワジワとガソリンが減少します。今年上期も3%ほど減ったようです。自動車台数は減っていないので、明らかに燃費が影響しています。また、全石連が満タン運動をしていますが、私の知る限りセルフSSでは明らかに台当り給油数量はフルSSに比べて少なくなっています。
来店機会を増やすという意味で、認知度の高いFCブランド並立は有効であると思います。
ところでこの場合、一つの立地に複数のブランドが存在するわけです。どういう店舗管理をしているか興味があります。
一番良いのは、コンビニなどFC店オーナーをCA(コミッションエージェント)にすることです。委託費を渡してトータルで管理するやり方です。
オーナーさんはレジ業務の埋没経費で給油承認、クレンリネス、機器の動作確認、サイン類の管理などルーティーン業務でSSを管理できます。現金管理は警備会社に任せるという手があります。
CAにした方がオーナーのモチベーションが違うはずです。直営会社や特約店のサラリーマン店長には、オーナーさんの自己労働自己搾取をやらせることは難しいからです。消防法の給油承認が緩和されれば、元売直営のFC業態店はCA化するのではないかと見ています。
CAは別にして、元売にとってFC業態とのブランド連携は効果的かもしれません。石油精製供給会社が本質なので、独自に小売ビジネスを立ち上げて既存の競合業態と競り合いながら仕上げるというかったるいことは組織論理に合いません。出来上がった業態とのブランド提携が手っ取り早い選択肢となります。
仮にそれが系列セルフのメインストリームとなった場合、特約店が介在する余地は縮小します。CAになって、元売系列より契約に厳しいFC業態の運営をするのか。あるいは属人性が強くて大企業が簡単にチェーン化できない独自のカーケアや利益事業を立ち上げるのか。
しかし、私は悲観的な見方はしません。セルフが新たなステージに入った今こそ、業界慣習にとらわれない個別経営者の独自業態確立の機運が高まると考えています。それは独立系にとって追い風と考えています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局