毎日新聞が執拗に追っていますが、ハイオクの問題はCOCのPB企業には全く関心のない話です。ガソリンの規格さえクリアしておれば、PBにとっては「三種(社)混合」に何の問題もありませんから。“驚異の走り!〇〇商店ハイオク”なんてキャッチ見たことありません。
毎日新聞は石油連盟会長の会見談話を取っています。記事中で、「(ハイオクバーター供給によって)「各社の品質は同じになるのではないか」と質問したところ、杉森会長は「そのように考えた方が早い」「それほど大きな品質の差はない」などと答えた。」とあります。また、「現在の流通体制が始まったのは「2000年代ぐらい」とした。」とも述べています。
業界内はPBに右にならって「どうって話じゃない」の雰囲気です。しかし、レシオ10%を切ったとはいえハイオクユーザーにとってはバーターなんて業界特殊事情を知るはずもなく、“ブランド名で買っていたはずです。業界団体トップに「それほど大きな品質の差はない」と言われたら、ユーザーは無知を恥じて自己嫌悪に陥るかもしれません。
毎日新聞以上に報道しているのが、自動車系メディアです。なにしろ年に1回は「ハイオク特集」をやって、“アナタはどこのハイオクを選ぶか?”と真面目に書いていました。一番裏切られた気持ちになっているのは彼らかもしれません。
ベストカーの関心記事ではハイオクが3位にランクされました。車種や新機能主体のクルマ好き向けのメディアでは異例のことです。品質問題ではないので過激な批判はありませんが、少なくとも今後「人気ハイオク特集」は姿を消すことでしょう。
毎日新聞報道のポイントは、同じハイオクなのに差別性をPRした虚偽記載にあります。
調べてみたら、10年ほど前に北関東で消費者庁から排除命令を受けた事例が見つかりました。系列店がハイオクと称してレギュラーガソリンを売っていました。大胆なやり口で確信犯でしょう。「景表法の優良誤認」というそうです。
燃料ではありませんが、添加剤の世界で排除命令オンパレードの時期がありました。2006年、7年頃の原油高でガソリンが180円に達して社会問題化した時です。テレビで無知な経済評論家が添加剤の燃費効果を紹介したために、“燃費20%減!”を謳う添加剤が目白押しで発売されました。そして片っ端から景表法に抵触しています。
「ハイオクくん」、「起爆水」、「燃良太郎」(杉良太郎?)など秀逸な商品名が並びます。平成20年だけで10社以上が、「表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ,当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった」として消費者庁から排除命令を受けています。
景表法の違反事例は、実際に使用していない食材をPRに使ったり、安く見せかけて追加料金を取ったり、公共機関の検査済みを装ったりと、ほとんど詐欺に近い手法が多くみられます。
共通するのは、売り手と買い手の知識・情報力が非対称な商品やサービスです。買い手の無知に付け込んで、お得感のイメージを刷り込むやりかたです。ハイオクも「ブランドの差別性」というイメージ先行で非対称であったといえます。
考えてみれば、SSの商品は非対称なものが大半です。メーカー保証の新車販売や汚れの落ち方が目に見える洗車を除けば、油外商品も知識・情報力が非対称です。逆に考えれば、お客に徹底的に寄り添った説明や告知が、地道ではあるけれど有効と考えられます。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局