ENEOSと出光興産のHPでニュースリリースを読むと、CO2「排出ネットゼロ」を意識した発表が増えています。
ENEOSでは、太陽光発電、バイオマス発電、水力発電利用など再生エネルギーの他に
・超小型EVシェアリングサービス実証実験
・森林を活用したCO2吸収・固定の推進に関する協業
・CO2排出量削減事業の推進に向けた環境価値取引事業の協業
・排熱を利用した熱電発電システムの共同開発
等々が並び、環境アピールしています。中には「ウニ畜養事業を通じたブルーカーボン事業推進」というものもあります。浅瀬で増殖して藻累を食い荒らすウニ(飢餓状態で身入りがないもの)を採取して畜養し、商業生産するものです。同時にCO2を吸収する藻類とそこに集まる魚類の生態系を保護するというものです。
出光は製油所構内車両にEVを導入してCIS太陽電池で充電します。また、製油所からSSまでに関わる陸上輸送の業務量をビッグデータ化して解析しながら、効率化して輸送上のCO2削減を図るそうです。
石油の「せ」の字もありませんが、大企業とりわけ上場企業は「ESG投資」を意識せざるを得ず、投資家に環境や医療への企業努力を示す必要があるから仕方のないことでしょう。「排出ネットゼロ」の重しが掛かっていますから、ここ数年は将来の事業の種を蒔きながらモノにできるか試行錯誤を繰り返していくことでしょう。
独立系のCOCの立場にあるので、元売の動きは余り気にしていませんが、さすがに、元売とSSの距離が遠のきつつあるなとは感じています。
◇ ◇
昔のように担当セールスがSS店長と語り合いながら、販売促進や商品戦略を練るという光景は見られなくなっているようです。ニュースリリースにある実験投資の多くは系列特約店が関わる余地がありません。
元売の中長期計画に「サプライチェーンのさらなる最適化」や「顧客接点を活用した新サービス展開」といった文言が謳われています。それを推進するのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。
デジタル技術による業務とビジネスの変革がDXだそうです。DXで最適化されたサプライチェーンにあって、特約店の仕事はどういうものになるのでしょうか。
私は限りなくコミッション・エージェント(CA)に近づくと思います。AIがSSごとの仕切りもインセンティブも決めるのはもちろん、最適小売価格まで設定するでしょう。給油周りは完全無人化します。でないとAIを使った解析に意味が無くなりますから。
◇ ◇
だから経営者よりも運営者が好まれます。現在のような地場の名士という特約店経営者の姿は消えていくと思います。
運営者の仕事も石油はフリーハンドですから、属人性の高い仕事、たとえば車販など油外業務に限定されることになります。あるいは併設コンビニの店長です。「サプライチェーンの最適化」とはそういうことです。
冒頭のように、・・・
続きをお読みになりたい方は、日刊油業報知新聞 電子版(1か月間無料試読)にお申込みください。