この稿を書いていたら、こんなニュースが流れました。
「イギリス政府は20日、温暖化対策を見直し、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する期限を2030年から2035年に延期すると発表しました。」(日テレニュース)
SS業界にとっては朗報です。私は別にEVを忌避しているわけでもありません。ようは乗る人が満足すればエンジンがあろうが無かろうが売れますから。
ただし、顧客満足度がパワー・走りから省燃費(排ガス)に比重が移ってきたことは間違いない事実です。
自由化後のSS業界に大きなインパクトをもたらしたのは、1998年のセルフ解禁でした。セルフSS増加とともにフルサービスSSが激しく減少することになりました。
同じ年に自動車業界でシンボリックな出来事が起こりました。トヨタのHV、プリウスの発売と軽乗用車の規格改定です。
HVは本格普及まで時間を要しましたが、2010年前後からのエコカー減税で一気に存在感を示しました。
プリウス発売時のトヨタのCMは強烈でした。「次に給油に来るのはいつのことだろう」とドライバーがささやきました。圧倒的な省燃費を強力に訴求するもので、SS経営者をおびえさせました。そしてプリウス効果で、自動車産業は省燃費車開発に一気に舵を切りました。
一方、軽自動車の規格変更は市場に即効性をもたらしました。凄い勢いで売れ始めます。
バブル崩壊の渦中にあって、もともと価格も維持費も安いうえに、規格変更で居住性が大幅に改善されたためです。軽乗用車がV字的に伸びます。98年度に乗用車に占める軽乗用車比率は39.5%でした。それが四半世紀を経た22年度末には「51%」までに達しています。
そして軽乗用車は実燃費で20㎞以上の省燃費車の象徴です。言うまでもなく、乗用車全体の省燃費化によって、ガソリン消費量が構造的に減少してきました。
ガソリンは2005年度が過去最高の販売量でした。この年を100として乗用車保有台数とガソリン販売量の推移を見ると、乗用車は22年度で109.9%と増加しています。しかしガソリンは72.4%まで減販しました。(図参照)
つまり、日本車の燃費が1.5倍以上も向上した計算になります。日本はガソリン車を増やし続けながらCO2(ガソリン)を26%も削減した、世界に冠たる「環境優等国」を自負しても良いでしょう。
環境問題では欧州や米国カリフォルニアが大騒ぎしてきました。中国もEV大国を自負しています。では、ガソリン削減によるCO2削減の実力はどうでしょうか。
BP統計を参考にします。同統計は2011年と22年の比較です。日本も含めてこの間のガソリン増減率をみます。
①EU 91.4%
②米国 99.4%
③日本 77.8%
一目瞭然、日本の“環境優等生ぶり”が明らかです。そうそう、中国を忘れていました。
④中国 185.4%!
「EV大国」を自負する中国ですが、10年でCO2排出量をほぼ倍増させました。日本が優等生なら中国は「魔王」です。原発処理水云々で日本に干渉する前に、自国の排出問題に謙虚に向き合うことです。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局