COCと独立経営<954>忖度の男業界よりも優秀な女性登用を – 関 匤

ガソリン暫定税率廃止の地ならしが13日から始まります。補助金を15円に引き上げて年末に補助金ゼロ=暫定税率1ℓ25.1円廃止という流れになります。

流通段階では13日の補助金増額に関して、高値在庫を抱える商社が狼狽売りをしたかと思えば、元売の出荷規制の影響か玉枯れで高値に振れるなど、文字通り「振り子相場」が一部にできています。これから年末年始に市場でどんな動きが起こるのか想像もつきません。
ところで廃止される1ℓ25.1円ですが、24年度のガソリン販売実績に掛けてみると「1兆900億円」になります。これは元売会社にとって影響は大きいものとなります。

私の認識が間違っていなければ、元売が蔵出しで預かったガソリン税の支払い済度は「90日」です。すると来年4月以降、元売会社の合計売上高は1兆900億円分凹むことになります。さらに投資家の企業評価指標である営業キャッシュフローに相当の影響を及ぼすことになります。
もちろん一蓮托生で、原油価格が高値変動しない場合、販売業者も25.1円相当の売上高が減少することになります。


それから、来年4月以降の軽油引取税の半減は、特別徴収義務者に対する都道府県からの「還付金額」を半減させます。大手フリート業者に大きな影響を及ぼします。
決算公告で調べたことがありますが、時系列で見てもフリート業者の営業利益率は意外に低いのです。一方「営業外収益」でまとまった利益が計上されています。これが還付金でしょう。

変な想像をしたのですが、この構造はコストコに似ています。コストコはディスカウント業態であって、イオンやヨーカドーに比べて粗利益は半分以下です。代わりに会費収入が分厚くて、そのまま純利益となっています。コストコの会費収入が半減したら現状のディスカウントが維持できるか疑問です。
コストコの例は仮定ですが、軽油引取税徴収義務者には来春に確実に訪れる現実です。
元売やフリート業者の悪口を書いているつもりはありませんが、波及する影響が販売業界、独立系事業者にどのような波乱をもたらすのでしょうか。気がかりな“すぐそこにある現実”です。


話は全く変わります。
石油製品卸指標価格を提供するRIM情報開発が11月11日、12日の両日、東京国際フォーラムで「エネルギーアゴラ」を開催しました。エネルギーに関わる官僚、識者、実務者が約60名、専門分野でプレゼンテーションを行いました。COCの有志4名で参加しました。

ガソリン仕入れや価格といった“地べたの話”ではなく、大所高所のお話であり我々は門外漢ではありましたが、話される方の力でしょうか、原子力の話やエタノールの話も興味深く聞くことができました。

面白かったのは、元IEA事務局長の田中伸男氏が座長を務めた女性専門家4名のパネルディスカッションでした。電力会社執行役員、エネルギーシンクタンク、学会、投資会社とそれぞれの立場から原子力発電をテーマに私見を述べられました。
“面白かった”というのは4名とも業界を全く忖度せずに話されたことです。また隣の人の発言を否定する場面もありましたが、“お気持ち”とか“主義”ではなく、原理原則のエビデンスを示した話なので議論が噛み合っていました。

田中さんがあえて男性社会の中での立ち位置を尋ねたのですが、業界の女性比率は低いけれども皆さん大して気にも問題視もしていませんでした。むしろ、文科系の政治家、官僚、業界団体が議論の出口を最初から決めていることを疑問視していました。諮問委員会でも原発で一番肝心な技術畑の人たちが遠ざけられている現実に驚きました。結果、問題が起こっても、消費者サイドは意味が理解できないままに政治的に議論が誘導されてきた事実に驚きました。
石油もそうですが、そろそろ優秀な女性の発言機会を増やすべきと考えております。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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