やはりPB経営者の間に、ガソリンの不安が強まっています。元売再編(集中)により、仕入れ先である中間流通業者の今後が気になるからです。冗談半分に言っていましたが、21世紀の配給統制です。
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さて、COC渡米組の話を聞いて、私なりに調べてみたのですが、米国ではコンビニなど流通業界がガソリン市場で主導権を握っています。そして、日米でもはや非対称と言えるほど「SSの概念」が違っているようです。
NACSというコンビニ協会があります。日本なら元売、大手販売業者、流通業者がコンビニという共通軸で組織されています。全米15万SSのうち13万がコンビニ店ですから、SSよりもコンビニが主たる呼称となり団体名になったようです。
今は廃刊しましたが、NPNというSS専門誌は20年以上前に、特集記事でひんぱんにキャンデーやソフトドリンクを掲載していました。
日本が“ガソリン市況命”に対して、米国では相当以前からコンビニ商品の組み立てに関心が強かったのです。よく言われるのが、米国でSSはコンビニでありコンビニはSSです。だから「ガソリンスタンド」とか「給油所」といった業種店の感覚はありません。
NACS調査でコストコやウォルマートなど主要ハイパー5社で全米ガソリンシェアの14%です。
またコンビニ情報サイトを見ると、今回渡米組が訪問したバッキーズやレーストラックなどコンビニ5社で6%です。わずか九社が20%のシェアを持ちます。米国の20%は、「日本のガソリン総販売量の2倍」です。
しかも、この数字にはセブン-イレブンなど店舗数上位店は含まれません。流通系コンビニ(PB)が店舗シェア50%(NACS)なので、ガソリンシェアは6割を遥かに超していると思われます。
店舗数20位のレーストラック社はコンビニであり、同時に日本の商社のような石油流通業者の顔も持ちます。海上のバージも押さえています。「OPIS指標を参考に調達」と資料にあります。取引相手は精製会社や有力中間流通業者でしょう。
米国はメジャー再編前後から石油会社が精製販売のエリア再編、売却、廃棄を進めました。一方で、高い分解技術を持つバレロやテスロなど精製専業会社が製油所を買収して成長します。石油会社の精販分離が行われました。
精製会社は石油会社を含めて多様な取引を行います。そのため油槽所ごとに多様で多数の取引が存在することで指標が形成されるため、レーストラックがOPISを調達交渉の参考にしていると思われます。
ガソリン流通の自由度を背景に、価格訴求で大量集客します。しかし彼らがヒト・モノ・カネを集中するのはコンビニの独自商品開発です。オンリーワンの商品力を競っています。シェブロンなど石油系が後退したのも、ガソリン価格ではなく商品開発力の差にあるようです。
配給制の日本ですが、既存PBの供給を切るような違法行為はないはずです。ガソリンは市場環境にお任せして、「経営者の全人格を収益事業創造に集中」と呼び掛けているところです。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局