すでに廃刊になりましたが、米国にNPNというSS専門誌がありました。英語力に乏しいので、私でも分かる専門用語を頼りに判じ物というか誌面をながめることがありました。
1990年前後から、メインの特集記事がキャンデーやファーストフードを扱うことが増えました。奇異に感じましたが、かの国のSSはイコールコンビニですから、なるほどと思いました。
NPNは石油業界誌でありコンビニ専門誌でもあったわけです。そしてメディアは読者の意向を反映した誌面作りを心がけます。コンビニ商品・サービス戦略を望む声を反映したのでしょう。
日本のガソリン需要が減少を始めたことから、COCの中で変調が起こり始めました。某社がSS投資資金を他事業に転じました。その会社はガソリンをガンガン売りまくっていただけに、潮目の変化を感じました。10年前のことです。
また、PBで車検と車販を精力的にやっている人がいて、ガソリンを安く仕入れて商圏内最安値で販売していました。ところが「カーケアが面白いから減販した時だけ価格を考える」と言って、マージン確保に転向しました。
いずれも、国内市場の変化に敏感に対応した動きだったと思います。この時に、SSもいよいよ業態転換の時が来たと実感しました。もちろんガソリンの関心を捨てたわけではないのですが、SSにおけるガソリンの位置づけがすでに変わったと考えました。
自由化が始まった頃は、安く買えば増えた粗利プラス増販分の粗利を見込めました。現在は当時よりガソリンは15%減販しています。仮に仕切を140円として、自由化時の粗利を稼ごうと思えば1㍑20円安く仕入れなければなりません。(残存者利益を無視すれば)
頑張って仕入れても、自由化時=デフレ時代の粗利に追いつきません。そして再編時代になって、元売のスプレッド(原油と出荷価格のさや)が固定されて、原油価格の上下分だけの変動に止まっています。結果、系列・非系列関わらず、仕入れ価格の上下幅は元売出荷価格と市況の間のきわめて狭隘な価格差の中に矮小化されました。
だから、小売業者の仕入れ努力が割に合わず、むしろ市況維持した方が儲かるというインセンティブが働きます。
需要と価格自由度縮小で、ガソリンに対する小売業者の考え方が流動化しているように思えます。ガソリンを売り続けることが存在の証のような元売や有力店が一方にあれば、なるべくガソリンの影響力を回避したい人たちがいます。
また、仄聞するに、再編元売系列では旧A元売自店発券カード客が旧B元売系SSに移動する傾向が出ているそうです。予測されたことですし、再編元売も相互乗り入れの利便性をウリにしています。
しかし、取られた個別SSでは憤懣やるかたないことでしょう。来春にも再編がありますが、再編するほど「系列意識」が希薄化すると考えられます。
そうなった時に、業態転換が本格的な潮流になるはずです。油外収益といった些末なレベルではなく、経営者が元売や行政依存度を捨てて自力で立つ動きと考えています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局