油業報知新聞に9月末の元売別SS数が掲載されていました。
前年同期に比べて597カ所の減少です。資料に出ていませんが、推定ながらPBが300カ所前後減っているとして、合わせて900カ所ほど減ったと思われます。
ひと頃に比べて、減少がやや鈍化した感があります。しかし、全体がピーク時から半減しているので、まだまだ減少傾向に歯止めがかからない状態です。
社有SSも減っていますが、一般系列店はその20倍規模の減少です。減少597のうち571を占めています。
一方、系列のセルフSSは70カ所増加しています。うち56カ所が元売社有です。新設にせよセルフにせよ一般系列店のSS投資意欲は芳しくありません。
さてシンボリックなことは、減少SSの6割がJXTGということです。過去の事例を分析した資料で見たことがありますが、合併後の元売系列でSS現象が大きくなるという轍を忠実に踏んでいます。
取引関係の大きな変化です。そして既に書きましたが、顧客の移動です。同じ商圏で同系列店がほぼ倍増したら、カード客のSS選択肢も倍増します。冒頭資料時点では異なったブランドですが、10月以降にブランド統合が始まっています。顧客移動の流れが強まっていると想像されます。
社有も73カ所減と他社に比べて目立って多くなっています。直営ネットワークの効率化のために、収益貢献度の判断が強まっていると思われます。大きすぎるが故に、変動も大きいと言えます。
もう一つ目だった数字がコスモ石油です。全体で108カ所減っているのですが、一般系列SS184カ所の減少に対して、社有SSは逆に76カ所増加しています。うち57カ所がセルフです。
コスモ石油は大手の中で唯一、合併の内向き(組織再編)の些事に煩わされないフリーハンドの立場にあります。(キグナス石油との統合問題を抱えますが)
JXTGは組織的な販売促進行為が独禁法の制約を受けますが、コスモは幾らでもやれます。直営SSを強化して、シェア拡大とリース車販売に弾みをつける狙いと思われます。
来年には出光興産と昭和シェル石油が統合します。残念ながら、さらなるSS減少が発生することでしょう。PBも含めて業界全体のシュリンクに歯止めが掛からない恐ろしさを感じます。
資源エネ庁が「SS過疎化対策」で出した資料の中にイラストで、「LPG販売事業者、宅配事業者、コンビニ、スーパー、郵便局」の店舗数が書き込まれています。消防規制緩和と簡易設備が重なれば、給油拠点は広がります。でも、これって戦前の軒先ポンプへの先祖返りですが。
コンビニやスーパーはすでに存在しています。どの業界も“客不足”に直面しているので流通系とのコラボが増えると思われます。また、コスモ石油だけでなくCOCのPBも積極的な車販ですが、これは逆も真なりで自動車業界が給油機能を求める動きも根強くあります。
系列SS数を眺めているうちに、新規参入が増えるという結論に至りました。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局