SSにとって面白くない話ですが、経産省、業界団体、メディアが「水素ステーション(HST)」にまっしぐらに驀進中です。報道を要約すると。
① FCV(燃料電池車)2025年に20万台、30年までに80万台普及
② HSTは、20年の東京五輪までに無人セルフ化を実現
③ 25年までに設置費用は3億5千万円から2億円に低減
④ 運営費を現状比約半分の年1500万円に低減
⑤ トヨタFCV・ミライとHV・プリウスの価格差を現状の300万円から70万円に圧縮…等々。
物凄い額の補助金が注ぎ込まれます。昨年の次世代燃料研究会報告でSS無人化があいまいな状態なのに、水素はもはや既成事実のように無人化OKと社会的コンセンサスが出来てしまいました。
SSの無人化は無関心でいられません。“実態として無人化”(?)のセルフSSもありますが、制度として無人化されれば流通市場に様々な変化が生じます。たまに、慣れない英文を拾い読みしながら海外の情報を検索します。そして先日、こんな記事を見つけてしまいした。
北欧の「ノルウェイ・トゥデイ」というネットニュースが写真入りで大きく報じています。見出しは「水素燃料ステーション爆発トヨタとヒュンダイ燃料電池車販売を停止」。
UnoX社のHSTです。同社は20年までに20カ所の展開を予定して、3カ所をオープンしています。のうちノルウェーのサンドビーカというHSTで併設のタンクが爆発したものです。6月10日のことです。
死傷者はいないようですが、爆風で走行中の車両のエアバックが作動したそうです。半径500mが封鎖されています。トゥデイ紙は“2019年6月10日はFSVの認識が一変する日になるかもしれない”と報じます。また、トヨタとヒュンダイが一時的にFCV販売を停止すると併せて報じました。“もっとも月に数台しか売れていないが”と皮肉を込めて。
◇ ◇
これ1カ月前の記事ですが、日本で報じられていますか。私は初めて知りました。
以前に製油所技術者の話として書いたことがありますが、水素タンクは製油所内でもっとも神経質に管理されています。技術者は「製油所に一元管理されているからこそ安全」と言っていました。FCVとHSTは一元ではなく分散管理です。「推進者」が言うほど安全なのでしょうか。計測機器大手の島津製作所HPは水素について概略こう述べています。「非常に低いエネルギーで着火する。拡散速度が速いので、短時間で空気と混じる。急激に膨張すると自動着火する。塩素などのハロゲンガスと混合すると、日光の直射によって爆発する。」
水素ステーション無人化は、SSの無人化よりはるかにヤバいと思ってしまうのは私の浅知恵なのでしょうか。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局