COCの秋季研修会が終了しました。
小さい組織ですが、北海道から九州まで社長・幹部が集まります。たいしたものだと思うのは、突然指名しても簡潔かつ裏付けのあるコメントを起承転結で述べることです。
前回、キャッシュレス狂騒曲に触れましたが、推進事業に登録された会社が出席していたので即席でお話しいただきました。COCで登録7社(9月30日現在)のうち3社が最終承認を得て10月1日からSS店頭で還元サービスをスタートさせています。クレジットもあればプリカもあります。
店頭告知にも補助金が出ますが、キャッシュレス推進協議会の指示通りの文言となります。それでもけっこう目立つ仕上がりです。ある会社はこれとは別にユニークすぎる値引き告知(詳細は略)を行っており“大反響”だそうです。おもに石油組合からですが…。
ところで推進協議会HPにこうあります。「サイト決済事業者の申請受付や手続の遅れにより、一部の中小店舗について登録手続が滞る事態が発生しています。多くの中小店舗の皆様により早くご参加いただけるよう、決済事業者に個別ヒアリングの上、体制強化など具体的な対応を求めています。」
前回も書きましたが、「一部の中小店舗について登録手続きが滞る事態」の元凶は典型的なお役所仕事です。「具体的な対応を求めています」とシレっと申請者に不備があるような書き方をしています。
しかしその実態は、不作為行為といっても過言でないほどです。中小企業が膨大な手続き書類を求められて、どういうシステムでどのように還元するかを明確にして提出しています。そして登録して公表されているのに、そこから「ここを改善しなさい」の千本ノックです。システム機器もソフトも入れ替えなければならないほどの要求を平気で中小企業に指示しています。「カンゲンカンゲンとうわごとが出そう」と各社呆れ顔です。
消費者が単価で価格を認識して、給油が終了しないと総額が確定しないSSの実態を役人が全く理解できないのです。ポイント還元のこだわりか、2%相当の値引き還元に厳しいようです。「銭単位は四捨五入で切り上げ分は当社が負担する」という説明も理解されないのです。
疑問点や改善案を連絡しても、メールのレスポンスが遅く何日も“放置状態”にされるそうです。しかも何度もリクエストメールを送りつけながら、担当者が記名されていないとか。電話しても担当者不在ばかりで、返電を依頼してもまず掛かってこないそうです。
役所のやりやすい手順に無理やり合わせようとしているのです。昔の軍隊で初年兵に「身体を軍服に合わせろ」と言ったのと同じです。軍隊なら軍務を知り尽くした古参兵が指導しましたが、今回の還元事業の場合は決済を触ってはいけない人たちが口を出して重箱の底をつついている図式です。
COCどころでなく、これ経済メディアが顛末を取り上げると思います。
とまれ、全石連幹部店のような大企業ではない独立系中小企業がよくぞ挑戦してくれたものです。
そして推進協議会のお粗末はともかく、「キャシュレス」というキーワード一つが走り出したことで、決済市場は地殻変動していくでしょう。
研修会で「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が出ました。データとデジタルを使ってビジネスモデルを変革することですが、象徴的なものが顔認証決済です。米国の独立系では、スマホでオーダーして給油終了すれば、データがスマホに飛んで決済完了するシステムがすでに稼働しています。
上記のように還元事業登録は役所仕事の弊害多々ありますが、やってみることで経営者の決済に対する意識は大きく変わっています。独立系から新たな決済システムが誕生する日を夢見ています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局