COC会員から年始の挨拶代わりに実情報告がきました。元売系列屈指の有力企業が、直近にSSを新設したそうです。そのオープンイベント販促活動についてです。こんな感じです。
①イベント値引き価格
②元売ブランドBOXティッシュ三箱
③3カ月3円引きクーポン
④灯油18㍑でポリ缶プレゼント
⑤子供向けにうまい棒つかみ取り
⑥カード入会で5円引き+ティッシュ20箱&ポイント5倍…
イベント後もガソリンは地域最安値にセットしているそうです。イベントには元売の“ゆるキャラ”も来ていたそうです。明らかに元売が販促をケツ持ちしています。
最近、系列大手店が新設や改造でイベント販促することが増えています。
私は販売促進活動を否定しません。小売業にとって有効な商圏戦略です。店舗の存在を認知してもらうためにも、チラシを配付して景品を用意するのは、とりわけ新設店にとっては重要な活動です。
ただし、同じ販促でも系列店と独立系では似て非なるものがあります。販促費を自己負担でやるか元売支援でやるかです。後者を見ていると、“町おこし”と称して国の補助金でイベントを行う地方自治体を連想してしまいます。ガソリンマージンが改善したので、補助金が出やすくなったのでしょう。
こういう姿を見ていると、令和どころか昭和62、63年頃まで逆戻りした感があります。昭和時代は「系列ゴンタの全盛期」でした。店舗の大型化と華美化、毎週のような景品販促で、それは“昭和元禄”のような楽しい時代でした。人気TV番組の「新婚さんいらっしゃい」でティッシュペーパーの浪費を指摘された主婦が、“そんなんスタンドに行ったら貰えますやん!”と開き直った時には、私ものけぞりましたが。
自由化以降、イベント販促は鳴りを潜めました。ガソリン高の価格体系が逆転し、金融危機もあって元売が支援のはしごを外したからです。
それから20年、元売再編が系列ゴンタをリバイバルさせています。昭和のイベント販促は非価格量販という大義名分がありましたが、令和のそれはセルフの時代とあって価格という飛び道具も駆使されます。
「出荷枠」という言葉が聞かれます。大手特約店には枠の分くらいは売ってください、だそうです。再編で相対的に優位性が薄れた大手店には「枠を広げる」動機が強まります。それが古式ゆかしい景品販促をマイブームにしているのでしょう。
景品販促は非常に効きます。冒頭の事例で言えば、COCのPB店から確実に顧客を収奪しています。しかし、同時に商圏内の同系列店にも流れ弾を命中させています。「系列内戦争」の恐ろしいところです。減販下の共喰いです。
2013年末に、系列非系列価格差を法律で是正すると、全石連が大騒ぎしたことがありました。当時、全石連を支援した某議員のHPに概略こう書かれています。
「安売店の進出で、正規のSSが閉鎖に追い込まれSS過疎が拡大している」
「安売り店」とはPBで、「正規のSS」とは系列で業転を購入しないSSだそうです。この議論は系列SSに業転仕入れの道を開けという趣旨でした。この議員の考えは、系列・非系列の価格差がなくなれば「SS過疎地は解消する」ことになります。
しかし令和時代の現状として、業転を仕入れない系列店同士が殴り合って、零細店は廃業に向かいます。系列非系列価格は縮小しましたが、過疎化はなお進んでいるのです。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局