先日、東京ビッグサイトで行われた「自動運転EXPO」へ行ってきました。精密機器、光学機器、電子機器、化学素材など専門的過ぎて理解できないブースが多かったのですが会場は盛況で人とぶつかり合いながらの回遊でした。
自動車にCASE、MaaSというキーワードが出たとたんに、産業界から一斉に名乗りが上がった状態です。ちょうどトヨタがCASEを実証する目的で、静岡裾野市に70万平方㍍の人工都市「ウーブンシティ」開発を発表していました。2000人が実際に住む町で、インターネットとつながるEVが自動運転します。さらに同社は、米国の「空飛ぶ自動車」に400億円の投資を発表しました。
これに煽られるように、部材、素材メーカーの激しい品質競争に拍車が掛かります。AI、GPS、制御、画像認識など機能の精度は飛躍的に高まるでしょう。自動運転は、案外、早く始まるかなと感じました。ちなみに、JXTGが軽量の吸音材を出していました。「燃費良くなるから軽くしないで」と、SS業界を代表してひとこと言っておきました。
4年前に知人が利用し始めてから関心を持っているのが、CASEのS、カーシェアリングです。タイムズが2018年に会員数100万人を突破してから、社会的な認知度が一気に高まった感があります。
タイムズのデータを見ると、シェアリングとは「50人で1台を共有する」ビジネスモデルです。極端な言い方をすれば、50台走っていた車が1台になることです。現実には車を保有する会員もいるでしょうし、レンタカーと併用する人もいます。それでも確実にガソリン消費に影響しているはずです。
シェアリング大手6社の19年9月末のデータによると車両総数は35000台です。驚くのはその内訳です。都道府県別に見ると、東京、大阪、神奈川の上位3都府県に車両の60%が集中しています。東京都だけで全体の36%、つまりシェアリングの3分の1強が東京なのです。東京都内の移動ビジネスモデルといえます。
私の知人とは神戸在住で、退職後に車の維持費が気になってシェアリングに切り替えました。自動車コストが10分の1になり、なんの不便も感じないそうです。東京の維持費の高さは神戸どころではありません。知人と同じような方が少なくないでしょう。
50人が1台を共有するので、タイムズはCASEのC、コネクテッド(つながる)機能も持ちます。GPSで走行管理されカーナヴィを介した、利用者との双方向性の情報機能を持ちます。
さらにMaaS(移動手段の連携)でも先駆的です。電車移動して駅でシェアリングするパッケージは、法人客の利用が活発です。
自動車のキーワードはシェアリングが先行しています。自動車メーカーなど新規参入も相次ぎます。国交省は警察庁とも連携して、路上や公営住宅などさまざまな実証実験で、利用促進しています。そこに自動運転EXPOの技術革新が絡んできます。
東京五輪もシェアリング利用の追い風となります。今年は、シェアリングエコノミー元年といっても過言ではないと思います。
ところで1998年からの推移を見ると、ガソリン消費はピーク時に比べて17%減少しています。一方、乗用車保有台数は26%増加しており、両者は完全に逆相関しています。明らかに燃費向上が主要因です。
98年はシンボリックな年です。ハイブリッドが発売されました。軽自動車の規格が変わり、以降、販売が加速します。現在、乗用車の半数がHVと軽乗用です。
ここまでのガソリン減販は燃費という構造要因でした。これからは乗り方と価値観の変化が要因となります。たぶん、2022年頃に保有台数も頭打ちになり、ガソリン消費は一段加速すると見ています。
その変動のメッカとなるのは、間違いなく東京市場です。新たな移動ビジネスが活況を呈する一方で、ガソリンは「全国屈指の陥没地帯」となる公算は大です。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局