小さな組織のCOCですが、複数の企業がスズキの副代理店になっています。
昨年秋に代理店になったAさんが、先日、スズキの販売店会に初めて出席しました。会場で20代のCOC次世代経営者Bさんに出会いました。彼も新たに代理店になっていたのです。3年ほど前に車販を始めたばかりの細店です。知らない間に車販で実績を挙げていたことに、Aさんだけでなく私も驚かされました。
スズキ販売店会では、自動車業界の有名人・鈴木修会長との記念撮影を楽しみで出席する人が多いそうです。Aさんは撮影時に、鈴木会長から「スズキの車を売ってくれてありがとうございます」と頭を下げられました。
Aさん曰く、「車メーカーはいいよね。石油だと上座に座っている元売にお追従する特約店ばかりだけれど、車だとメーカー会長が感謝してくれるから」。もっとも、三波春夫さんじゃないですが、お金を払って買ってくれる人は“神様”は世の常識ですが。
先日、有名な自動車ジャーナリストとお話する機会がありました。こんなことを言っていました。「自動車は消費者がメーカーを評価する世界。最近は環境も消費者評価になっている。だから消費者に有益な情報は、世界中のメーカーが技術情報もどんどん公開する。その結果、CASEやMaaSも進化するし、周辺技術が様々な分野に応用されていく」という言葉でした。
「石油と違うな」と私も実感します。
自動車流通で現実的な話題としては、トヨタのディーラー再編です。これは色んな意味で注目しています。
自動車ディーラーは石油特約店に構造が似ています。原則として「製販分離」です。地場の有力者がディーラー、特約店に起用されています。そしてメーカー純正製品を販売しています。少なからぬ大手石油特約店がディーラーを経営するのも、この親和性があるからでしょう。
トヨタはディーラーをカローラやネッツなどブランドで4系統にチャネル分けしていましたが、全車種を一ディーラーで取り扱うことになりました。東京の子会社4社を1社に統合したのを皮切りに、静岡でも子会社を地場企業に売却しました。愛知では地場大手が2社を統合しました。会ったジャーナリストは「2割、3割では済まない。大規模な集約が起こる」と断言していました。
大きな背景に「2025年問題」があります。石油と違って、乗用車保有台数は一貫して伸びてきました。しかし、25年までに人口のボリュームゾーン・団塊世代の免許返納で、いよいよ保有台数が頭を打ちます。CASEが進化し、すでにタイムズシェアリングが実践しているMaaSも市場拡大するでしょう。クルマは保有から利用へと移行します。
だから現状のディーラー網は陳腐化するため、再編を進めています。同時に40車種を30まで絞り込みます。
それどころか、すでに始まっているリアル店舗を介さない「BtoC」のネット販売が広がるかもしれません。
もう1つ現実的な問題として、サービススタッフが扱いなれていない車種の整備点検を行うことになります。そのためにAI、IoTの応用がすでに始まっています。車両データや指示書、不具合の発見まで「仮想現実」で作業を進めるシステムです。もはやゲームの世界との融合ですが、作業時間が7、8割も短縮されるそうです。
トヨタだけでなく世界のメーカーが様々な技術開発を進めています。消費者との接点はキーから始まって全てスマホに変わるでしょう。
私が気がかりなのが、ディーラー再編がSS、カーショップ、整備などアフターマーケットで純正ではない汎用市場に生きる事業者にどう影響するかです。汎用にカスタマイズした新技術は必ず登場します。その新技術対応が汎用市場にとって「踏み絵」になるでしょう。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局