COCと独立経営<766>IT時代にリアル店舗の新潮流 – 関 匤

ユニクロ銀座店の新装開店が話題になっています。

「「NewLife,NewWear,NewGINZA.」をコンセプトに掲げ、ユニクロのLifeWearをリアルに体験いただける、新しいグローバル旗艦店として誕生します・日々進化するユニクロアプリを使った新しい購買体験や、銀座の地域の皆様との協業をご紹介するなど、様々な施策で期待感あふれる店舗になる予定です。…」(同社ニュースリリース)

テレビで観たのですが、本来なら各フロアに新商品、売れ筋商品を大量陳列して販売促進に使っていたスペースを、新店舗では大胆に「ブランドのミュージアム」としています。インスタレーションというそうですが、センサーにふれると大型ケース内のダウンが浮き上がる、ユニクロ商品が振り子のように運動する、無人の自動編み機でニットが編まれる、オブジェを使った製品リサイクルの仕組み等々、売り場というよりはアパレルミュージアムのようです。

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リリースに「アプリを使った購買体験」という表現があります。アプリがあればオンラインで商品購入ができます。

有名女優と付き合ったうえに会社を売却して大金持ちになったM澤さんに象徴されるように、アパレルのオンライン販売は二兆円市場となっています。アパレル販売の一四%を占めるようになっており、2019年で前年比150%の大幅伸びとなり、コロナ禍でさらに飛躍しています。反対に青山などが次々と店舗を閉鎖しています。

こういう状況下で、ユニクロは大胆に銀座で投資をしました。しかも、商品陳列スペースを縮小してまでメッセージ訴求の店舗作りをしているのです。

オンライン全盛の中で、「リアル店舗は無くなる」という見通しの一方で、リアル店舗を再構築する動きが現れています。米国が先行していて、しかもオンラインの旗手であるアマゾンがリアル店舗に着手しています。一つの考え方として「体験型店舗」という言葉があります。ユニクロ銀座は多分に意識されています。メッセージ型店舗を体験して、アプリで買い物するという顧客像がイメージされます。

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もう一つ、リリースに「銀座の地域の皆様との協業」とあります。銀座の名店の商品を展示や販売促進に活用して、「銀座地域の店」というイメージを持たせるそうです。またユニクロフラワーやコーヒーも出店しています。ユニクロブランドがどういう領域に波及するかシミュレーションするようです。今後、AI、IoTと絡んだ様々なリアル店舗の新潮流が出現するでしょう。

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ちょうどリアル店舗のあり方について書籍を読んでいたので、体験型店舗登場に反応してしまいました。

SSの商品はリアル店舗でないと売れません。といって、何が出てくるか分からない時代です。米国のガソリン出張給油のYOSHIが、コロナ禍の「恩恵企業」となって、2020年12月で利用顧客20万人だそうです。

米国はおおよそ1台月間200㍑のガソリン消費です。単純計算でYOSHIは、スマホのサブスク無店舗販売で月4万㌔㍑を販売していることになります。

出張修理や洗車も行っています。サンフランシスコの地域原点の小商売でしたが、GMが23億円を投資しました。将来のEV充電と修理を視野に入れているそうです。

我が石油村は“コストコが悪い”とかガソリンの値段の話ばかりで、SSを「市況の体験型店舗」と位置付ける人が少なくありません。何十年も同じことばかりの楽屋オチですが、こういう業界ほどゲームチェンジャーが参入しやすいことが心配です。

せっかく消防法が緩和されたのだから、「給油取扱所」よりも「給油空地」をどうデザインするかを考えた方が健康的だと思います。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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