石油連盟の都道府県販売実績で、今年4月以降はさすがに前年の大幅減の反動でガソリンは増加基調にありました。しかし、8月は▲6・6%と悪かったですね。前年も▲9・7%であり、書き入れ時の緊急事態宣言が効いたようです。天候も不順でした。
それでも4―8月は4・4%増になっています。しかし、1昨年比で見ると▲10・1%であり需要回復にはほど遠い状況です。
最近、「ガソリン高」がマスメディアで報じられることが増えました。資源エネ庁発表で「160円」という数字が発表されたことで、ガソリン価格にニュースバリューが出たようです。誰の差し金か知りませんが、私のような雑魚(ざこ)にまで大手出版社ウェブマガジンや週刊誌から問い合わせが来ます。
米国では過去から石油流通市場の研究が活発に行われています。ガソリン価格に対する消費者心理として、下落時の1円よりも上昇時の1円に反応するという調査結果を見たことがあります。今は明らかに消費者が「高い」と認識しているので、値引きに対する反応が鋭いと考えられます。
関東圏のCOC会員から「ウチの商圏でセルフの店頭価格は有名無実となっている」と連絡がありました。
- 某販社
①実売=店頭から8円引き
②実売からカード値引き2円
③実売からアプリ値引き3円
④実売から②+③合わせ技で値引き5円
- 某フリート
①実売=店頭から8円引き
②実売からプリカ値引き2円
③実売から午前中値引き2円
④実売からLINE会員値引き5円
⑤実売から②+③合わせ技で値引き7円
⑥実売から②+③+④合わせ技で値引き9円
―炸裂していますね。店頭掲示価格はもはや実在していません。これじゃあ、テレビ通販の夢グループですね。5960円が1980円とか2万2千円が5980円とか。
この「合わせ技」は値引き幅が大きいので消費者を惹きつけるでしょう。それほど需要縮小に対する焦りがあるのでしょう。先述した「高値時の値引き理論」を忠実に実践しているようです。
今後、新型コロナならぬ合わせ技感染者数が拡大するでしょう。元売再編以降、ガソリン市況は東高西低で推移しています。高値地区の関東で合わせ技感染者が増えているので、石油組合は「緊急事態宣言」を出す羽目に陥りかねません。
ただし、合わせ技を駆使できるのは有力店に限られます。立地・設備の良い大型セルフ店に“まんえん”すると、再編元売で進行する競争にもう1段ギアが入ることになります。
誰でも売れる無機質なコモディティ商品にシステムコストや販促費をかけてよくやるよな、が私の実感です。何度も書きますが、「給油取扱所」にこだわり続けるのでしょうね。
こういう、根こそぎ客を収奪するような行為がまんえんすれば、ただでさえ脱炭素で出口を探している人たちに「廃業」の背中を押しかねません。SS過疎地増えますよ。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局