原油高に歯止めがかからない状況です。各メディアで「ガソリン高い報道」が増えています。店頭170円が出ると、消費者心理に明らかに影響が出るでしょう。
2007年か8年にCOCの研修会が群馬県北部で行われました。私は印刷物を受け取るために東京都内の印刷所に寄ってから、車で向かいました。午前中の首都高速渋滞が半端じゃないので、印刷所まで2時間は掛かると見て早めに家を出ました。2時間どころか30分ほどで到着してしまい、都内で時間潰しをする羽目になりました。輸送車両以外の乗用車がほとんど走っていませんでした。当時のガソリン価格がセルフで170円だったと記憶しています。
あの頃から、エコカーはさらに増加しています。ハイブリッド車は30倍に増加して930万台になりました。乗用車に占める構成比は6%から15%まで浸透しています。さらに、実燃費で1㍑20㌔㍍以上の軽乗用車の構成比が26%から37%に大幅に増加しています。
ハイブリッドと軽乗車の構成比の伸びがガソリン需要を構造的に縮小させてきた大きな要因です。ガソリン高で燃費の良い車が買い控えやセルフSSでの定量定額給油が増える可能性が高いので、さらなる減販が考えられます。
と考えるSSが多いようで、何回か前にも書きましたが、系列有力店による「特殊合わせ技値引き」が広まっているようです。某県石商幹部と会ったら“困ったもんだね”と呆れておりました。170円の店頭価格が自動値引き+系列カード+QRコード+LINE、中には午前中給油の「朝割」が合わせ技となって実売150円台になるとか。ひと頃の携帯電話値引きプランですね。コモディティ商品なら、PBのように「一物一価」で売ればよいのに。
自由化、セルフ化から4半世紀も経ったのに石油村は「ガソリン値引き業」から進化していないようです。
ただし、個別に眺めると値引き業から脱却しているSSも見られます。大手よりも中小店あるいは1SS店で見られます。業態転換は試行錯誤を繰り返した結果、自動車周りビジネスが主流となっています。
車検、車販、レンタカーから鈑金、保険に広がっています。一方、こういう商品は机の上で「カーケア構想」を描くのは誰でもできるのですが、属人的性格が強いので大組織よりも経営者が率先垂範する中小店向けです。
車を1台売れば、付属品を含めて20万円前後の粗利益を生み出します。その代わり、顧客の発見から商談、成約、諸手続き、納車まで時間と手間を要します。SSスタッフではなくセールスマンの意識付けがないとやりきれません。成約スタッフの評価もしっかり考える必要があります。
サラリーマン組織の場合、スタッフによる意欲の温度差が生じがちです。また、頭抜けたスタッフが登場した場合の報償の付け方も難しいと思います。そういうスタッフはえてして組織で浮き上がることもあります。
やはり、経営者の本気度がスタッフに伝わりやすい中小店に向いています。実際に粗利の九割を燃料以外で稼ぐ繁盛店も出現しています。
地味で手間のかかることですが、COCの某1SS店の場合、経営者が仕入れた車を撮影しながら自ら外回り内回りの機能を解説する動画を制作しています。これをYouTubeに投げ込んでいます。さらに、5000件もアカウントをとっているLINEにもアップしています。
大手店がLINEを合わせ技のガソリン値引きツールにしていますが、この店は利益商品のショールームに利用しているわけです。どっちが経営的に健康的か誰にでも理解できるでしょう。
自動車ビジネスで決済や告知テクノロジーを健康的に使うことで、中小店が脱ガソリン時代に下克上できると確信しています。EVが増えても囲い込める力がありますから。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局