ウクライナ戦が膠着状態を続けています。大義無きロシア軍に対して、ウクライナ人は文字通り命を懸けて国を守っています。
軍事戦略に「攻撃3倍の法則」があります。戦前の旧祖ソ連軍参謀長が定めたものです。守備側は固い要塞、後方支援、地の利があるため、攻撃軍は守備側の3倍の兵力を投入すべしというものです。旧日本軍も大戦初期のアジア地域への攻勢では、この法則通り進めて勝利を収めています。
ウクライナ戦で、ロシア軍の兵員は約18万人、ウクライナ軍は19万人と報道されます。兵器の能力は同等と考えられますから、ロシアは旧ソ連の法則でいえば過少兵力による遠征になっています。しかもウクライナ軍には義勇軍など兵員補充や欧米からの物資支援も行われています。明らかに苦戦です。
プーチンは国内情報統制を厳格化していますが、ウェブに習熟した市民がいる時代には時代錯誤です。情報統制の象徴たる国営放送の生放送中に、「官製ニュース」を読み上げるアナウンサーの後方で女性スタッフが「反戦」のメッセージを広げました。取り押さえられることなく放送され、アナウンサーもたんたんと原稿を読み続けていました。
これは明らかに、番組スタッフによる共同正犯でしょう。放送局は前線の実態が分かっているから、国民にメッセージを伝えたいというジャーナリストの良識が働いたと思います。また、今のところ女性スタッフは「罰金3万円」で釈放されており(今後訴追の可能性もあるものの)、意外に軽い処分です。ひょっとすると当局の一部も反戦に噛んでいるかもしれません。
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戦線の膠着と停戦交渉への期待もあって、原油に向かっていた資金が株式に戻りつつあります。
WTI原油先物は3月8日の123㌦をピークに暴落も含めて漸落の動きとなり、16日は95㌦台まで下がりました。
ここのところガソリンがすっかり悪者になっていますが、日本以上にガソリン高が問題になっているのが米国です。
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米国のガソリン価格(レギュラー)は、ここ数年間ガロン2㌦台で推移していました。メキシコ湾岸など産油地域では1㌦台も見られました。
しかし、2022年第10週(3月7日EIAのデータ)は3.96㌦です。1㍑円換算で120円です。原油が150㌦に迫った2008年以来の高値です。
主要20都市の8都市で4㌦を超えています。ワシントン州シアトルでは4.51㌦、1㍑円で138円です。あくまで20都市であり、地域によっては5㌦から7㌦台も出現しています。
米国は乗用車1台が月に300㍑を消費します。1㌦の高騰で3万数千円の出費増となります。日本と比較にならないほど生活におけるガソリンの影響度が高いのです。
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最近のニュースで「ガソリン泥棒」が出現しています。フィールドのハッチの上に駐車して、部分的に切り抜いた車の床からポンプでバキュームするようです。日本でもセルフ入れ逃げがニュースになっています。
そして、アーカンソー州ではなんと「ガソリン半ガロン表示」が3月11日から7月1日までの期間限定ながら承認されました。高値間を薄めるとともに、消費者の節約を促す狙いもあるようです。
日本で「0.5㍑表示」やったら公取委が飛んでくるでしょうね。85円以下になりますから、安値感抜群の表示なので満タン給油が増えるかも知れません。カード、スマホアプリ、QRコードに「午前中値引き」など駆使した合わせ技値引きよりは健康的でしょう。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局