コロナ禍以降に顕著になったのは著名人によるユーチューブ開設です。
私は野球好きなので、元プロ選手の番組を片っ端から観て楽しんでいます。ユーチューブの面白いところはテレビと違って、タブーのハードルが低いことです。面白い裏話が続出します。さらに1つのテーマでじっくりと解説を聞けるのも魅力です。
そんなユーチューブに、数カ月前、佐藤太治氏の番組を見つけました。「金儲け学園」という、なんとも下品なタイトルです。
この人、2-3年前に経済事件で名前が出ました。「かぼちゃの馬車事件」です。女性向けシェアハウスの投資家を募り高利回りを保証していましたが、回転率の悪化から利払いが停止されます。数百億円の投資だけに社会問題化しました。書類改竄などでスルガ銀行が矢面に立ちましたが、物件を運営管理していたのが佐藤氏関連企業でした。
経済誌でも名前が出ましたが、善意の第三者として債権者への補償などを問われていません。過去にFCビジネスできわどい話を耳にしました。
この佐藤氏、元はSS経営者でした。
私が出会ったのは佐藤氏が30歳の頃でした。角刈りで漫才のミルクボーイ内海さんをスリムにして目つきを鋭くした外見でした。やり手の住宅営業マンで資金を稼ぎ、22歳で東京浅草のSSを買収して石油業界に参入しています。経歴が分かるのは、最近、シリーズでSS業界の話を時系列に整理して話しているからです。
浅草のSSで安売りをやったら嫌がらせを受けてSS店頭で暴行事件に発展しています。この話は1977年5月12日の「衆議院物価に関する特別委員会」で共産党女性議員が公取委に見解を求めています。「14、15台の乗用車やライトバンで押しかけ、5ℓずつ給油させ1万円札を出しておつりを請求するなど営業妨害とも思われるいやがらせを行い、退去を求めたスタンド主と乱闘になるという事件」だったそうです。
自分で言っていますが、美人の母親が共同石油特約店経営者の愛人でした。佐藤氏はいわゆる非嫡出子です。本当の父親=石油業界ということから、彼の様々な行動にはどこか業界に対するルサンチマン(怨恨、遺恨的なねじれた感情)があったのかなと思うことがあります。
浅草から埼玉県川越を経て神奈川県相模原市に本拠を構えた頃に、販売力を買われてゼネラル石油の特約店になっています。佐藤氏のユーチューブの怖さというか彼の記憶力の良さというか、出会った人物名が次々実名で出てきます。COC創設者の山口武男さん始め資源エネ庁課長や私が会った元売社員の名前も出てきます。(私のような雑魚は出てこないと思いますが)
元売社員に聞いたことがありますが、ゼネ石で「量販三強」と呼ばれる特約店があったそうです。経営者研修でビジネスゲームをやったら、前のめりに投資するので3人が真っ先に倒産したそうです。番組の佐藤氏の話を聞いていても、4SS経営者にしては大阪・堺や千葉・市川にタンクを借りて韓国から疑似ガソリン(フエル=BTX系)を輸入するは、新設枠(当時の規制)の当てがないのにSS用地を買ってしまうなど投資は大胆です。
最近は1984年当時の、ガソリン自主輸入という石油業界の歴史的事件を語り始めています。段階的に何回にも分けてじっくり説明しています。
以前シリーズで書きましたが、国内価格体系が標準価格で「ガソリン高中間品安」の時代です。輸入ガソリンはℓ数十円レベルも安かったので、佐藤氏の自主輸入は石油業界を根底からひっくり返す行為でした。しかし当の本人は番組を見るかぎり、無邪気に安い本物ガソリンを買えると喜んでいたようです。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局