COCと独立経営横浜でEVへの備えを実感 – 関 匤

2020年2月以来2年4か月ぶりに、COCの通常総会と研修会を集合で開催しました。宿泊でやると、COC恒例の1部屋借りての2次会は膝突き合わせての“超密”になるので、今回は横浜市で会場を借りて、懇親会は移動して横浜中華街で行う日帰り開催としました。

出席者の雰囲気を見ていると、研修会でも懇親会でも誰かと隣り合わせになることが嬉しくてたまらない様子でした。懇親会は大盛り上がりでした。改めて、人間は他人との関係性で生きているものと実感いたしました。

会場設定にあたり、神奈川県石油商業組合のお世話になりました。紙面を借りて御礼申し上げます。

研修会の講師は桃山学院の小嶌正稔教授にお願いしました。

EVに関する自動車メーカーの戦略分析や欧米の事例解説など情報が豊富です。並行して米国コンビニ(=SS)の業態開発の話もよく出てきます。EVと業態開発は実はコインの表裏の関係にあることがようやく理解できるようになりました。

「ガソリンスタンドはガソリンを入れに行くところ。強みは来店に明確な目的があること。立地と価格で優劣が決まり、『明確』であるがゆえに給油は早ければ早いほどいい。逆に弱みは、給油という目的が無くなったら絶対行かないことにある」と小嶌教授は言います。

ちなみに、教授は「ガソリンスタンド(GS)」と「サービスステーション(SS)」を識別してお話しします。この場合は前者のことを述べています。EVが顕在化してきたら、顧客の店舗選択条件が変わってしまうということです。だから、GSに充電器を併設するだけでは選択されないということです。

私も無料会員登録する、米国CPS社というコンビニ専門誌HPがあります。毎日メールでニュースが届きます。私の英語力ではヘッドラインだけ見て、興味があれば本文を“ググリ翻訳”して読んでいます。

数年前から、有力チェーンが店舗内飲食を強化していると実感していました。そしてコロナ禍のテイクアウトや宅配で、飲食の強みと弱みが明暗を分けています。投資できなかった店舗やチェーンを有力店がM&Aというニュースが急増しています。21年をカウントしてみたら80件、約6000カ所の移動が起こっています。物凄い優勝劣敗ぶりです。

コンビニ間の差別化競争と思っていたのですが、米国は先を見込んでいます。EV時代への対応です。小嶌教授はCPSの「ガソリンスタンドの小売再興」レポートから、憂慮機チェーンの考え方を紹介しました。

「EVは単なる燃料の変更ではなく、ガソリンスタンドやその空間の使用方法を変更する。もはや給油スペースを必要としない」「消費者の意識は変わった。コンビニは差別化をしており、わずかなガソリン価格差では動かくなくなっていることに気が付いていない」「EV充電設備に必要なのは、時間を過ごすことができる場所=座席と店舗レイアウトである」…。

先述のように、GSは「ガソリンを入れに行くところ」ですが、EV充電は「そこに何があるのか」が店舗選択条件になる、と米国の経営者(ガソリンを売っている人たち)は考えています。

コンビニの飲食強化もチェーン間の差別化だけでなく、将来のEV充電時代を見据えていることが理解できました。「充電設備は店舗の選択基準にはならない。充電していること、充電時間を意識しない空間(体験)」と店舗選択要因がGSとは決定的に違ってくるからです。そのための飲食空間設計です。

米国の業界人たちも、EVによって自らのアイデンティティを否定される思いを持っているようですが、同時に、したたかに“その時”に備えています。

業態転換は難しいテーマですが、皆さん悩みながらも懇親会では良い酒の肴になったようです。

 

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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