COCと独立経営<803>カスタムカーの市場規模は? – 関 匤

日産が発売開始した軽自動車EV・サクラが受注好調のようです。6月半ばで1万5000台超の受注と報じられます。年内に何台まで増えるのでしょうか。

HVやPHVを除くBEV(純粋電気自動車)は、2021年度末で12万3708台の保有台数です。ここにサクラの6月半ばの数字がアドオンされただけBEV保有台数を10%強増やします。

全乗用車に占めるBEVの保有率はサクラを含めても「0.22%」にすぎません。微々たる水準です。しかし、2004年度のHV保有率が「0.24%」でした。エコカー減税と東日本大震災の2011年頃が臨界点となって急伸しました。

EVの市場規模の見通しは専門家に任せるとしても、中長期視点でEVをいかに顧客にすべきかを今から考えておく必要があります。

EVと同じく「見えない市場規模」として、私が急に関心を持ったのが「カスタムカー」です。

以前書きましたが、COC会員がホンダのバイク廃車を半年がかりでレストアして55万円の商品にしました。凄いことです。なにしろ世界で1台しかないバイクを作ったのです。石油村の空気に埋没していた中小企業が、ユニクロと同格の「製造小売り」(SPA)になったのです。そしてこの世界は元売のコモディティ発想がちょっかいを出せない場所です。

先日、喫茶店で手にした少し前の写真週刊誌に女優の伊藤かずえさんの愛車が紹介されていました。90年頃に買った日産シーマを気に入って30年乗り続けています。

インスタで動画を載せたら評判になり、日産自動車が反応しました。伊藤さんのシーマをレストアするプロジェクトチームが立ち上がりました。もちろん伊藤さんが拒むわけはなく、仕上がりに大満足しているという記事でした。こういうカスタマイズの市場規模はどれくらいあるのでしょうか。

私自身は車音痴のため無関心なのですが、「東京オートサロン」という展示会はもともとカスタムカー主体だったそうです。自動車のgooサイトで国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが最近のオートサロンに苦言を呈しています。「チューニングカーばかりを集めたショーだったよね。それが近年は自動車メーカーがどんどんハバを効かせてきて、新車発表の場にもなっているじゃない。オレ的には全然面白くない。メーカーがお金たくさん持って派手にやって、コンパニオンもたくさん使って。まぁ主催者は儲かるかもしれないけど」

車音痴の私でも最近の日本の道路を見て思うことがあります。走っている車がプリウスと軽自動車ばかりですから。ちょっと昔に、チバラキや翔んでサイタマの連中が夜な夜な個性的な乗り物で横浜山下公園に乗り込んで、ハマの若者たちと(激しく)懇親会をやっていました。道路の現状を見ると彼らが懐かしくなります。

そんな“特別な人たち”はともかく、成熟と言われる市場において車に対する潜在ニーズがあるのではと想像しています。成長期は古いものを捨てて新しいものを買う時代でした。しかし、成熟の時代においては伊藤かずえさんのような「使い続ける」という考え方もありです。

1台の車に徹底的に寄り添うことで、本当の意味で「マイカー」にしたい。そんなニーズを象徴するのが伊藤さんです。彼女が特殊なニーズなのか、あるいは氷山の一角でとてつもない市場が埋もれているのか。

分かりませんが、ようは先述のCOC会員のように“やってみる”ことです。市場を突く人が増えるほどに、カスタムカーの市場規模が水面下から顕在化してくるでしょう。

面白くないですか?元売のキャンペーン油外のコモディティの世界から、SSが世界でここにしかない商品を製造できるのですから。しかも顧客満足の下に。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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