えー、今回もCOC新年研修会のことを書こうと思っているのですが…。
3月1日付の油業報知新聞で、元エッソ石油常務にして初代日本アルコール産業社長を務めた西尾直毅さんが書いてくれました。
特にキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志さんの“脱炭素は嘘だらけ”に関して多くを詳細に紹介していただきました。杉山さんは昨年10月に初めてお呼びしました。COC会員から「面白い本があるぞ」と言われ、著作を一読してこの人はぜひ呼ばねばと連絡を取りました。
杉山さんは東大理類に学んだ物理学者です。昨年、冒頭におっしゃった言葉が実に印象的でした。概略こう述べました。「物理学者は原理原則で物事を見るので、物理が合えば世の中に逆らっても真実を主張する。ガリレオ・ガリレイは敬虔なカトリック信者でありながら、地動説を唱えてローマ法王に逆らった」。
真実のためには「忖度」しないのが物理学者というお話です。そう考えると、我が日本の石油村で声の大きな人たちの考え方は物理にかなうのかな、と変な想像をしてしまいました。
もう1つ、杉山さんはキヤノングローバル戦略研究所について、「母体のキヤノンにとって不都合であっても、国家のためになるなら一切忖度せず持論を主張すること」を社是としているそうです。
何年か前から疑問に思っていたのは、世の中の大手と言われるシンクタンクや広告代理店は、「クライアント」の落としどころに沿った「報告書」を作成しているのではないかということです。
キヤノンには10年以上前から農協と農政の構造的問題点を指摘してきた元農水官僚の山下一仁さんもおられます。山下さんが粘り強く世論を喚起し続けたことが、2017年の全農・農協改革に寄与したことは間違いありません。
環境省という役所が「環境白書令和2年版」で堂々と示しているのが、「1970-2018年の大災害による保険損害額の推移」というグラフです。70年比で30倍も増えています。
これを「地球温暖化による激甚災害の増加」としているわけです。
杉山さんは簡単に論破します。「それは経済成長により災害地点に住む人や施設が増えたから損害も増えただけ」です。
分かりやすいのは50年前の映画です。東京近郊でも空き地や田園風景が見られますが、現在その撮影地に行けば商業施設やマンションが立ち並んでいます。50年前に大型台風が来ても稲が倒れるだけでしたが、今だと確実に被害が出ます。
数年前の台風で千葉県に大きな「保険損害額」が発生しましたが、50年前の千葉なら瓦が飛ぶ程度だったでしょう。
東京ディズニーランドが漁師町と水郷の時代でしたから。環境省は「環境予算」を引き寄せるためにこのような“性格の悪いデータ”で世論誘導しているのでしょう。あさましいかぎりです。
エネルギーや環境は、主義や思想や収益で語るものではありません。リアリズムです。原理原則で語るものです。
1970年代にも地球環境問題がありました。「公害」です。この時代にも“環境圧力団体”が現れて、大工場を持つ企業に圧力行為をかけていました。総会屋のようにお金で解決する人もいました。
公害はリアリズムで大きく改善されました。廃棄物の浄化、燃焼効率の改善、工場設置基準の強化…等々、コストはかけても合理的に解決してきました。物理的に汚かった河川に魚が棲むようになりました。
21世紀のNHKが、災害が起こるたびに平気で「地球温暖化による」と枕詞を付けることに誰からも異議が出ないのが不思議です。杉山さんの結論はこうでした。
①原子力再稼働・新増設
②再エネ最優先を止める
③石炭・天然ガス(LNG)開発に投資、長期契約
COC・中央石油販売事業協同組合事務局