COCと独立経営<857>ガソリン高値期で景品販促が復活? – 関 匤

石油連盟統計で7月の都道府県別販売実績が出ました。
ガソリンは4-7月で前年比98.3%です。月別には4月99.7%、5月98.4%が、補助金減額の市場心理が働いたのでしょうか6月は95.4%と下げ幅が大きくなっています。しかし、7月は99.6%とかなり持ち直しています。

旅行会社のJTBが例年実施する夏場の移動アンケートがあります。7月初旬に出されていますが、7月15日~8月15日の期間に国内を旅行(移動)する意向を持つ人が前年比116.9%あって、コロナ前の2019年時点にほぼ並んでいました。
7月のガソリン販売量は19年7月比で98.8%であり、ガソリン高にもかかわらず移動が活発だったことが消費を下支えしたと言えそうです。8月も似たような傾向となりそうです。

一方、9月は補助金再開が決まったものの「ガソリン高報道」が活発に行われていることが消費心理に影響しているかもしれません。
9月早々の週末、関東某所で系列大手店のSSが集客イベントを行っていました。20以上給油で卵1パックプレゼントです。物価の優等生と言われた卵も値上がりしていることもあって、店頭は大賑わいでした。

「ガソリンは高い」と認識されているので、景品販促が集客に有効となるでしょう。個人客向けの景品販促が一部量販SSで採用されたのは、1980年に入った頃でした。販促が有効と書くのも、現在の市場が80年代に似たところがあるからです。

① イラン革命に加えて旧ソ連のアフガン侵攻とイラン・イラク戦争が長期化
② したがって第2次石油危機となって原油高プラス為替相場の乱高下
③ ただでさえ屋上屋を重ねる規制時代にあって資源エネ庁は「省エネ」を大義名分にSS休日休業とSS新設凍結を指導
④ 石商の「協調機能」が高かったのでガソリン価格表示はご法度
⑤ 休日休業のあおりでSSのガソリン販売が停滞
-等々、戦争が勃発していたことも含めて現状と通じるところがありました。

当時、元売は石商に気を使って組織的にはやりませんでしたが、ガソリン販売の落ち込みを補うべく一部の特約店・SSで「実験」を行いました。販促費を重点投入して価格表示しないで量販する施策として、景品販促が登場しました。
神奈川辺りでは余りに効果が出すぎて、業界紙を連日賑わせることになりました。状況が似ているうえに、現在の減販は原油高や行政指導によるものではなく省エネ化などによる構造的なものであるだけに、販促活動が活発化するのではと見ております。

ウクライナの戦争が終結する目途が見えないだけに原油は高値に張り付くと見られます。補助金再開といっても、市況は「180円台」のレッドライン(買い控えの発生)で推移するでしょう。
実際に系列店と話していると、重点SSに販促費を投入するらしいという話も聞きます。事実なら、下期はSSごとの来店客数に開きが出そうです。
もう1つ、80年代のガソリン停滞時代に起こったことは「高額油外品販売」でした。家電製品、羽毛布団、紳士服、宝石…といった商品をSSスタッフにノルマで売らせたことです。

真面目な店長は借金して自ら購入した挙句、サラ金から追い込みをかけられるという悲劇も聞きました。
石油村は横並びで動く“悪い癖”があるので、こういうことは再発を防止してもらいたいものです。ビッグモーターは対岸の火事ではないので。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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