COC会員から連絡がありました。
倉取りの庸車契約物流費が3年連続の値上がりということです。
いわゆる「働き方改革法」は、2019年~20年度から時間外労働年間360時間上限が施行されていますが、物流・輸送業界では事業の特殊性を勘案して猶予期間が置かれてきました。それが今年4月から時間外労働「960時間/年」が厳格に施行されます。
全日本トラック協会の資料によると、月の総労働時間の目安は、
① 時間外労働=年間上限960時間÷12カ月=80時間/月
② 法定労働時間=40時間/週×4.3週=172時間
③ 休憩時間=1時間/日×22日=22時間
④ 以上合計=274時間/月
そして中小企業であっても、月60時間を超える時間外労働に関して「50%以上の割増賃金」を支払うことが義務付けられました。時間外労働に関する規制が非常に厳しくなります。
この点はCOC会員も理解しているので運賃値上げを受け入れたそうです。彼によると、中間卸し商社も運賃値上げを受けて、SS業者が運賃を自己負担する倉取りの卸価格を安めに設定し、商社が手配する持ち届けは高めという傾向が顕著になってきているといいます。
前回も述べましたが、安定供給とは物流が機能して初めて成立します。いくら声高に「最後の砦!」を連呼しようが、モノを見付けられない、運べないでは、“ごまめの歯ぎしり”に過ぎません。戦時中の「出てこいニミッツ、マッカーサー」と同じく実効性がないたわ言です。
全日本トラック協会は恐ろしいことを述べています。
国の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、2024年問題に対して何も対策を行わなかった場合には、営業用トラックの輸送能力が24年には14.2%、さらに30年には34.1%不足する可能性があると試算しています。
もちろん国交省はこれを見越して、2019年度から荷主の監督官庁である経産省、農水省と提携して「ホワイト物流」推進運動を展開しています。ここで1つのキモが「物流車両の自動運転」です。
国交省は2018年に新東名高速道路で、運転者がハンドル、ブレーキを操作しない状態で、5列渋滞のトラックが100㎞近い距離を時速80㎞で走る実験を済ませています。
また「路線バス、コミュニティバス等を活用した貨客混載」「ドローン物流」「道の駅等を拠点とした自動運転サービス」など、実証実験を様々な観点から行っています。
原油高になると代替エネルギーの開発が活発化するように、AIを活用した物流ターミナルや荷役作業の効率化が進むことでしょう。
自動運転は日本だけではなく「一番乗り」を目指して国際競争が繰り広げられています。課題は多いですが、レベル4になれば運転手はハンドルとブレーキ操作が出来れば良いので、物流ターミナルのシステム化次第ではパートの主婦層にも新たな雇用が拡大します。
国交省の実証実験は「道の駅」に注目しています。道の駅から食品等を自動運転車両で運んでいます。ホワイト物流が開始した時に比べてキャッシュレスが一気に進展しています。PCやスマホを操作する高齢者も増えています。
2023年8月現在、1209カ所の駅があります。立地が「SS過疎地リスト」にも符合しています。ガソリン扱い店は私のカウントでは20カ所ほどですが、地域のエネルギー供給(備蓄)拠点になりうると思います。2024年問題からいろいろ思いました。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局