1996年4月の石油産業自由化からすでに四半世紀以上を経過しています。
SSに関して、この間に大きく変わったことを思いつくままに列挙します。
①SS数が6万カ所から3万カ所割れまで減少
②13あった元売会社が実質4社まで減少
③国内需要がガソリン3割、灯油6割、軽油15%、燃料油合計4割それぞれ減少
④精製能力も4割減
⑤SSの4割弱がセルフになった
⑥車検、車販、レンタカーなど新商材登場
⑦様々な新規参入者の登場
⑧元売直営SSの台頭
⑨PB・独立系がSS数の2割強に
⑩中間流通商社の再編成
等々というところです。私の記憶では自由化後の3~5年が最も激しい変動がありました。有力企業がSS網を売却する、知っている会社が倒産する、下剋上のように急激に成長して既存業者を凌駕する…等々の市場変動がありました。また、知り合いの元売若手社員が早期退職で転職する方が相次ぎました。販売業界も元売も優秀な人ほど新天地に活路を見いだそうとしていました。
SS市場では独立系がロケットスタートを切っていました。セルフでも車検でも車販でも、一番風呂に飛び込む方の多くは独立系でした。
元売では当時存在した外資系は系列店政策を一気に転換しました。自由化とは価格体系の変動であり、ガソリン高・中間品安という“世界の非常識”が逆転してガソリン安になること、これが本質でした。
それゆえ何十年も早く欧米で経験している外資系元売が、系列店とのしがらみよりも合理的取引を優先しました。それは事後調整のない苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)を極めるような政策転換でした。
結果、それでも系列に残る方とそうでない方のメリハリが生まれました。旧外資系列店はこの時期に相当鍛えこまれたと思います。
想像ですが、外資は旧価格体系ではガソリンで思い切り利益を上げていました。同時に価格体系の異常さを知っていたので、自由化以前からコスト効率の系列政策であったと記憶します。
先に列挙した「自由化で変わったこと」は価格体系の転換が引き起こした結果です。
一方、何も変わらなかったこと。
①元売社員の牽強付会な態度
②全石連の「ガソリン教」
③政官界の「石油予算利権」
こんな嫌味を書くのも、私は自由化時点でガソリンを持つ小売企業への巨大な業態転換の潮流が来ると期待していたからです。上場企業が次々と登場する世界を夢見ていました。そういう業界になれば、私にもオコボレ(笑)が来る期待もありました。
この当時、米国で事情は異なりますが、石油会社(主にメジャー)の精製リストラ、SS網売却、精製専門企業の台頭が起こりました。
私の認識では、90年以前までは石油系コンビニ業態が強かったのですが、環境変化によってハイパーやコンビニが急激に成長を始めました。小売市場では、石油系よりも小売系の存在感が圧倒的に強くなっています。
セブンイレブンは日本国内ではENEOS系の併設業態に過ぎませんが、米国でFTC(公取委)に指導を受けるほど絶対的なトップ企業です。日本の半分のSS数で日本の総需要のガソリン売っています。
ガソリンに対する意識の差が、日本の小売企業成長の頭を押さえてしまった、と考えています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局