COCと独立経営<934>謎のガソリン価格が関東に上陸! – 関 匤

6月10日にCOCの通常総会と研修会が終了しました。主催者としてはスケジュール通り進行して、懇親会も参加者が腹蔵なく商売の話で盛り上がっていたのでホッとしています。
結構欲張りな内容にしまして、マーケティング、石油需給、セルフSS無人化(条件付き)、厳しいマーケットで知恵を絞るSS経営者のケーススタディ(COC会員に非ず)と盛りだくさんでした。手前味噌ながら参加されたCOC会員、オブザーバーの皆様にご満足いただけと自負しております。

印象深かったのは、ケーススタディの中でコストコ直近にある中小SS経営者の言葉でした。
「この町の2倍、3倍の商圏から自動車を集客してくれるのだから、それにあやかれば良い」と言うのです。行政が補助金を浪費しまくっても活性化しない地域にお客が勝手にやって来てくれると言うのです。
某COC会員が思い切った投資でSS隣地に大規模洗車場を作りました。彼もコストコ至近商圏です。コストコが絶対客数を増やしてくれるので、確率論として他県ナンバーの車がついでに洗車している筈です。

私は長く業界に関わってきて、ガソリンが安いだけで「悪者づくり」することには辟易としております。


研修会でも話題となったのですが、最近の価格談合疑惑と価格表示の話でした。くだんの長野県でこんな新聞報道が出ています。

「県が県内ガソリンスタンド(GS)の店頭表示価格の実態調査に乗り出すことが11日、分かった。『現金価格』や『会員価格』など複数の看板を掲げるGSが多い中、全国石油商業組合連合会(全石連)の『GSにおける価格表示の適正化ガイドライン』に沿った看板表示か確認する。」(信濃毎日新聞)

記事中の「GSにおける価格表示の適正化ガイドライン」ですが、消費増税を前に2019年4月に全石連が「消費税総額表示ガイドライン」を示しています。概略ですが、

(1) 看板・価格ボード、チラシ等の広告
看板・価格ボード、チラシ等の広告による単価表示は「整数の総額(内税)」とする。
(2) 価格表示機能付き計量機
計量機上に表示される単価及び金額は「整数の総額(内税)」を表示する。
(3) POS伝票
POS伝票内の『売上に係る単価・金額』は、「整数の総額(内税)」で表示する。

とはいえ、これはガイドラインであって全石連もこう記します。

「本ガイドラインは、独占禁止法の趣旨に則り、SS事業者に対して特定の表示方法を強制するものではなく、あくまでもSS事業者の自由意志に基づき採用される性格のものである。」(いずれも下線は筆者)
だから長野県がガイドラインに則った表示かを確認しようが、SSの自由意志であるので表示が不明朗であっても“こういう結果でした”の域を出ないでしょう。


以前から話を聞いていたのですが、「謎のガソリン価格表示」が関東に上陸しました。
謎とは、店頭表示が「999」とか「888」という数字です。
「謎の888看板関東圏へ」
「謎の888看板関東圏へ」

九州で誕生して、燎原の火の如く市場に立ち並んでいるとは聞いておりましたが、いよいよ関東にも出現しました。と書くと、まるで南米の「ヒアリ」が上陸したみたいですが。
全石連ガイドラインの「あくまでもSS事業者の自由意志に基づき採用される」ものですから、何を表示しようが法令に抵触するものではありません。
計量機に価格が表示され、それが外税表示で安く見せるという手練手管が駆使されています。まあ勝手にやってくれです。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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