COCと独立経営<936>イスイラ紛争停戦と新たな補助金 – 関 匤

あくまで拙稿執筆時点の状況です。中東情勢に敏感な欧州の英国BBC報道です。
「イスラエルとイランが24日にそれぞれ合意を発表した停戦は、双方が維持していると表明しており、25日未明(日本時間同日朝)の時点で効力をもち続けているとみられる。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、米東部時間25日午前0時(日本時間同日午後1時)に、戦争が正式に終結するとしている。」

核施設だけをピンポイントで、しかも地下重要施設には地中貫通爆弾バンカーバスターを投下した結果、相当の大打撃を与えたようです。いろいろ批判がありますが、“火事は一気に消す”作戦がイランの戦意を挫いたことで停戦に至ったことは間違いないでしょう。
米軍がイランを攻撃すれば第3次オイルショックが起こるというメディア報道もありましたが、イスラエル・イラン紛争(以下イスイラ)で急騰した原油価格は一気に下落しました。

NYMEX・WTI原油先物価格を月別に単純平均すると、今年は弱含みの推移でした。
・1月 74.68ドル/バレル
・2月 71.16ドル/バレル
・3月 67.86ドル/バレル
・4月 62.91ドル/バレル
・5月 60.82ドル/バレル
6月はイスイラがキナ臭くなるに従って62ドルが66ドルにじり高となり、イスラエルが攻撃を開始した13日には71ドル台に急騰します。22日の最高値75.78ドルなど1週間、70ドル台が続きましたが、23日の米軍のイラン空爆で一気に68ドル、24日には64ドルまで下げました。(画像参照)

乱高下した6月のWTI先物市況 (6月2日~26日終値)
乱高下した6月のWTI先物市況 (6月2日~26日終値)


6月相場の大変動を見ると、米大統領は空爆の前に空売りして一気に買い戻した、なんて陰謀論はイケマセンね(思い付きの冗談です)。

どうも日本政府やメディアは状況に反応してしまう傾向があります。(先の大戦でも大本営の状況反応が数多くの過誤を生みましたが)
「政府はガソリンの小売価格の高騰に備えるため、26日から激変緩和措置を取る方針だ。7~8月の間、足元で1リットルあたり171円程度の小売価格が急騰しないよう、175円から超過した分を補助する。現在1リットル10円を定額補助している仕組みを拡充する。」(日本経済新聞23日)
と報道された翌日に、米軍イラン核施設空爆で原油先物相場が一気に下落しました。米大統領がイラン攻撃を明言していたことに対して、政府のインテリジェンス(情報判断能力)がメディア並みではないのかと心配になります。

前から書いていますが、何で「175円」と政府が再販価格を指示するのか。今の日本に配給統制価格が必要ですか? 2008年にはPBでも180円台で売っていました。でも17年前には、高いなりに安いなりに競争原理が機能していました。


26日から元売は、ガソリン補助金13.4円で実質「3.1円」の値上げ通告を行いました。これはイスイラ紛争でWTIが急騰した原油情勢を反映しています。その前週も「4.5円上げ」と2週続きの上げとなっています。

配給統制時代の公定価格を「マル公価格」と呼びますが、3.1円はマル公価格です。市況商品のコモディティは、需給、在庫、売り手・買い手の思惑など様々な要因で動くものです。配給時代は闇相場が立って、マル公価格を上回ったり下回ったりする相場が存在しました。
逆に、市場は7月1日以降、原油安=値下がりを読み込んでいます。小売市況は必ずしもプラス3.1円に届かないままで7月入りすると26日時点で見ております。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


〒104-0033
東京都中央区新川2-6-8
TEL: 03(3551)9201
FAX: 03(3551)9206