COCと独立経営<952>自由化30年後のビジョンは? – 関 匤

前回の拙稿でグラフにタイトルが入っていませんでした。私はご丁寧に指示したのですが編集で無視されました。「新聞社」の冠を頂くのであれば、グラフにタイトルが入らないと意味をなさないことを認識して欲しいものです。
私は元データをエクセルに起こして、一目で分かるようにグラフ化して無い知恵を絞っているつもりです。と力んでも、読者の方には伝わらないかもしれませんが…。(いきなり閑話休題)


来年は1996年4月の特石法撤廃(業界自由化)から30周年となります。
可能であれば、自由化前に資源エネルギー庁が開催した「石油流通ビジョン研究会シーズン2」を立ち上げて、30年間を検証して欲しいものです。その上で、新たなビジョンを示すべきではないかと考えています。

90年頃にダニエル・ヤーギンが記した「石油の世紀」は、私のバイブルのような存在です。ヤーギン氏は「米国で最も影響力を持つエネルギー問題専門家」と呼ばれます。

石油産業の創成期から現状までの国家や企業の戦略を、興味深いエピソードをふんだんに交えた内容で面白く読みました。しかし、終章になるとヤーギン氏は90年初頭にして「石油の世紀が晩年を迎えた」と示唆しています。
この伝で私流に言えば、自由化から30年は「日本の石油の世紀晩年の光と影」と言えます。良いことも悪いことも自由化前に比べて、大きく動いたと考えます。

・価格体系の逆転
元売もSS企業も共に最大の大変動がここです。ガソリン高中間品安が、国際常識に準拠して逆転しました。
系列は事後調整など補助で、独立系は業転でそれぞれガソリン収益を上げていましたが、系列補助の大幅縮小、系列・業転格差の縮小(これは少しタイムラグがありましたが)の洗礼を浴びました。
加えて自由化の時期が最悪で、バブル崩壊の金融危機、アジア通貨危機による原油暴落と円高そしてデフレが重なりました。文字通りのハードランディングとなり、ロードサイドにバリケード囲いされた廃業SSが林立しました。

・セルフサービスの拡大と成長企業
解禁当初、全石連が「悪の権化」の如く批判を展開したセルフですが、独立系で量販店が続出すると元売が直営店で一気に拡大に転じました。独立系の先行者利得は大幅に後退します。
一方、自由化とセルフを追い風に、系列・独立系双方で、自由化以前の中小規模店が一気に企業成長する例が少なからず出現しました。

・元売再編と精製統廃合
98年に日本石油と三菱石油が合併し、ここを核として経営統合が進みました。13元売が現在は実質的に大手3社支配となりました。
元売統合のキモは「製油所統廃合」にありましたが、なかなか自主判断ができないままに役所依存の「高度化法」で精製が縮小に向かいます。余計な副産物として「流通経路証明」なるものが独り歩きを始めて、独立系の調達に影響を及ぼしました。

・石油の世紀の縮小
21世紀に入ってから国内石油需要がピークアウトを始め、今なお進行しています。ピーク時と2024年度を比べると、
① ガソリン ▲26.7%
② 灯油   ▲60.5%
③ 軽油   ▲32.8%
④ 燃料油合計▲48.5%
30年で石油の世紀は、ピークを迎えて、そして半分にまで縮小しました。

・今後のビジョンはあるのか?
30年前の流通ビジョン研は、SSの方向性として「燃料油特化」「総合収益」「新規事業」そして「早期撤退」を掲げました。
石油需要が半減し、シェアやレンタカー利用が拡大しEVや無人運転などモーダルシフトが起こる渦中にあって、SS業態にどういうビジョンがあるのか。

流通ビジョン研報告はCOCでも経営者に大きな影響を与えました。個人的には非常に関心があります。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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