COCと独立経営<956>公取委の排除措置命令 – 関 匤

長野県のガソリン価格談合疑惑に対して、公取委は11月26日、県石商北信支部に対して「排除措置命令」を出しました。
「長野市周辺のガソリン価格でカルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は26日、長野県石油商業組合北信支部(長野市)の独占禁止法違反(事業者団体による競争制限)を認定し、排除措置命令を出した。同支部主導の下で、価格調整を行っていたガソリンスタンド(GS)運営事業者17社には計1億1658万円の課徴金納付を命じた。」(読売新聞)

17社総額約1憶1700万円は厳しい数字ですね。公取委の報道資料には事業者ごとの課徴金額が、社名、代表者氏名とともに公表されています。大手2社は合わせて6000万円超と大きな額となっています。

北信支部会員の中で、調査開始前に申告した1社は課徴金免除。元売合弁企業は、公取委の調査に関する情報を提供したとして課徴金が30%減免されています。しかし、最少額の企業は113万円ですが1SS店だけに非常に厳しい課徴金です。
また、JA3社には「継続的に、支部員から特定揮発油の販売価格の改定額等の情報を入手し、その情報を踏まえて、それぞれが販売する特定揮発油の販売価格の改定額等を決定していた疑い」(公取委)として、「警告処分」が出されました。


ちょうど暫定税廃止対策がらみの補助金が27日から1ℓ20円となるタイミングなので、週明けの価格がどうなるのか(執筆時点では不明)。

価格サイトのgogo.gsの現金店頭価格全国平均は、11月第2週の169.9円が3週には164.5円となっています。中京、関西の安値ランキングは140円台半ばが林立しています。
長野県で警告を受けたJA系とは違うものの、実はCOCのPB店も稀に系列店から価格の打診を受けることがあったそうです。「正直言うと時点の価格設定の判断材料だった」と言う方もいます。ただし、長野県の問題が浮上して以降は全く売値の話が聞こえてこないとか。


全国の石商がカルテルを行っていたと言うつもりはありませんが、独立系SS業者は自由化以前から価格は経営者の判断で決めてきました。COCの創設者・山口武夫氏(愛知県春日井市)は、アナログ時代に大学ノートに日々の販売実績を手書きしていました。
① 前年同曜日の実績比較
② 同じく粗利益比較
これだけです。前年より落ちていたら赤字で記入していました。赤字の日が続くと、商圏内他店が何かしているので、価格を下げるとか販促に動いていました。もっとも、ガソリン需要が伸びていた時代ではありましたが。

自由化後しばらくしてPB化した方がいます。民族系特約店として数カ所のSSを運営し、全量元売仕入れ、販売価格は地域協調、油外プログラムにも協力する“お利口さん特約店”として元売から評価されていました。
ところが、自由化後に元売が仕掛けたのでしょう、他系列の有力特約店がいきなりガソリン10円安を表示します。大打撃を受けたところに流通系から新規参入セルフが安値攻勢をします。
セルフ化投資を決めますが、系列元売は支援するどころか「セルフは日本の商慣習に合わない」と本社の建前回答を繰り返すだけ。くだんの経営者はここに至って全量業転買いによる対抗と、お利口系列マークを捨てます。この時に初めて、価格は協調ではなく自ら決めるものという、小売業では当たり前の原則を実感します。

独立系は、原則として現金で仕入れますから、入荷時点で原価が確定します。事後調整も販促補助もありません。小売価格設定に大変神経と知恵を使っています。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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