最近、系列店やメディア関係者から「元売再編で業転品薄だからPBは大変だろう」と皮肉交じりに聞かれます。
系列と業転価格差は縮小しています。一般には3円を切っているようです。もっとも、系列最安値との差ですから、系列サブ店の高値感は続いているでしょう。
ただ、COCのPB経営者が慌てふためいている状態ではありません。新潟や愛知県など地域による温度差はあるものの小売り市況が堅調なためです。
PBは、長年の経験から業転が需給環境によって価格変動することを知っています。系列より高く買った経験もしています。全石連が騒いだ2014年頃には、系列非系列格差はずいぶん縮小した、のがPB経営者の実感でした。なにしろ自由化直後はリッター10円格差があったのですから。現状は面白くはないけれど、小売で利益が確保できていれば良しです。
業界で大きな声でモノを言っている人たちは、SSを論じるのにガソリン価格の話ばかりです。最盛時に比べて15%も市場規模が縮小し、直近でも8カ月連続前年割れしている商品です。SSが減少して、1SS当たり販売量は増えています。いわゆる「残存者利益」です。しかし所詮こんなのは“タコの足食い”であって、ガソリンでモノを考えている限り残存者が減っていくだけです。仕入れで1、2円優位であっても、利益は減販で相殺されています。
“ふつうの”ビジネス社会なら、5年、10年先の利益構造を考えて、利益事業の開発が中心テーマになるはずです。
にもかかわらず、原油相場次第では元売ですらコントロール不可能な市況論を、その下流に生きる小売業者が語っていて何がどうできるのでしょうか。独占禁止法に挑戦して価格カルテルを行う以外に手立てはありません。
それと「進化」が見えないことです。30年前、40年前の業界紙のスクラップを読むと、頭がくらくらしてきます。日付を変えれば21世紀に通じるからです。油業報知さん、1回やってみたらどうですか。昭和50年の記事をそのまま明日の新聞に掲載してみたら。多分、誰も気づかないですよ。
四半世紀前に出会ったSS店長がやたらと蕎麦に詳しく、聞いてみたら、昭和50年代に働くSSが蕎麦屋を併設して繁盛していたそうです。“蕎麦屋がノズル握っている”と固定客には面白がられたそうです。やはり同時代に、市街地型SSで側道に喫茶店を経営した方もいました。いずれも、よく当時の消防規制をクリアしたものです。
規制で業種の壁が厚かった昭和50年代にSS業態革新の挑戦が行われていたのです。流通革新時代が始まりコンビニなど業態店が支持される中で、「給油所」に革新を起こそうとしていたのでしょう。
バブル期に消防規制緩和でSS併設業態が噴出しました。そして多くが消え去りました。そしてコンビニ業態、喫茶業態、大手流通業態など元売や新規参入業者が、SSの新しい形を先導しています。「SS経営者モデル」が見えてこないのが不思議です。冒頭にあるように小売業者が、縮小する市場で価格優位性ばかり論議している時なのか、と慨嘆しています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局