COCと独立経営<969>「配給所」に業態転換した元売 – 関 匤

こういう市場環境下にあって、独立系団体の人間が冒頭に呑気なことを書くのはいかがなものかと思いますが、詮無い状況ですので…。
30年ほど前ですが、ふらっと入った名画座で「東京五人男」(斎藤寅次郎監督)が上映されていました。昭和20年12月公開といいますから、戦後初の製作映画です。
丸焼けになった東京を舞台に、エンタツ、アチャコ、古川緑波など東西の喜劇役者が如何なく持ち芸を発揮する喜劇映画です。全てが無くなった時代だからあとは笑うしかなかったのでしょう。制作費も限られていたと思いますが、よくできた映画で記憶に焼き付いています。

主舞台となるのが配給所です。もの凄い行列待ちがあるのに、規則を楯に配給所の扉を開けない所長がいます。配給を開始しても大根一本を秤にかけて、「規則だから」と僅かな重量オーバー分を出し惜しみします。それでいて自分の身内には特別サービスの出し放題です。
出し惜しみで余剰物資を隠匿して、高値で買ってくれる闇業者に横流ししています。組織ぐるみで不正をしています。
最後は、正義漢の五人男が、隠匿物資で酒盛りしている所長たちの酒をメチルアルコールに差し替えます。悪の所長たちはメチルの毒で全員クビが曲がってしまいます。“日本史上最悪のどん底時代にこんな明るい映画を作ったのか”と大いに感銘を受けました。


現在、独立系PBが置かれている状況を鑑みるに、この映画がオーバーラップします。

「出し惜しみ」で「身内に出し放題」に「高く買う奴には売る」…。戦後80年の石油業界で現実に起こっていることです。元売会社は「配給会社」に業態を変更すべきではないでしょうか。

2014年頃でしたか、全石連が「業転系列格差が甚だしい。議員立法で規制すべき」と大騒ぎしたことがありました。その時の系列・非系列格差を「1リットル15円以上」と喧伝したのですが、よくみれば系列安値と業転格差は2~3円でした。これはブランド料以下のレベルです。非系列は品質分析や物流などでコストを自己負担していますから格差は無いレベルです。しかも系列大手は何らかの事後調整的な支援を貰っていましたから、系列・非系列格差は実態として無かったのです。

「1リットル15円格差」はむしろ系列内の問題です。ボリューム格差だけでなく、特約店が中間搾取するサブ店仕切りが高かっただけです。まさに系列内問題の価格格差を非系列になすりつけたのが実態でした。
大組織が議連も使って大騒動した結果、実に筋の悪い副産物が誕生しました。「流通経路証明」です。


流通経路証明は法的裏付けもない、元売と商社間の“阿吽(あうん)”の自己申告です。
しかし、元売再編で大手2社がシェア80%を握る時代に商社は忖度するしかないのです。元売は商社のPB向け出荷を正確に掌握している筈です。
3月初旬から非系列売買指標価格のRIMが吹き上がりました。非系列は供給を30%、多いところでは50%もカットされて、系列標準仕切りより「1リットル30円」高い仕入れとなっています。全石連が騒いだ系列・非系列格差など幼稚園のお遊戯会レベルです。
値決めの違いとはいえ、イラン危機の対応であるならば、“配給所長さんたち”の安定供給論はどうなっているのでしょうか。緊急時の優先順位は系列非系列に関わらず安定的に流通することではないですか。全体を供給カットすれば数%、1リットル数円の値上げで収まります。

非系列供給を高値誘導しながら、身内には出し放題で顧客を簒奪しています。gogo.gsサイトで元売直営が安売りランク上位にノミネートされるほどです。
軽油やA重油では需要家をコケにするような出荷で、運送団体が激怒しています。冒頭の映画のように、消費者を小ばかにする配給所は社会の恨みを買うことでしょう。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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