COCの新年研修会が終了しました。お呼びした講師陣が想像以上に気合を入れてくれたおかげで、参加者それぞれに刺激を戴いて盛り上がりました。残念だったのは熱心な会員数社が豪雪被害で、1名がインフルエンザに罹患で欠席されたことです。
さて、研修会初日の日本経済新聞がトップ記事で「給油所でEV充電OK コンビニ併設も可能に」と報じました。「経済産業省はSSの規制緩和に乗り出す。次世代自動車の燃料となる水素や電気を供給できるように施設の設置基準を緩める。コンビニエンスストアや物流営業所も併設できるようにする」という内容です。消防規制緩和でSSの事業、複合業態の制約を外すということです。
この日、資源エネルギー庁の小林誠課長補佐をお呼びしてPOSのIC対応と流通行政を説明いただくことになっており、実にタイムリーな報道でした。小林さんが研究会が始まるとおっしゃっていましたので、資源エネ庁のHPを確認しました。
「次世代燃料インフラ研究会」(座長・安念潤司・中央大学法科大学院教授)です。SSに関わる検討課題(概略)として
敷地利用の規制=SSの給油と付帯業務以外は不可(消防法)
監視体制の規制=セルフSSの監視義務(消防法)
機器使用の規制=ベーパー滞留範囲の機械器具使用制限(消防法等)
給油方法の規制=ガソリン給油は原則地下タンクのみ(消防法)
以上の4つの規制緩和をあげています。
「敷地利用」と「機器規制」はSS内での事業自由化、「監視体制」については無人化、「給油方法」は地上タンクからの給油が検討されます。
1986年にSS取扱い商品が自由化されていますが、設置基準など運用面で規制に縛られています。私の身近でこんなことがありました。レンタカーをSS店頭に置いていたら、某カーケアチェーンから“国交省と消防に告発する”と脅されました。事なきを得ましたが、給油客もレンタカーも同じ車ですからおかしな話です。
地上タンク化は過疎地対策でしょう。昔、へき地に多くあったPS(可搬式)の利用が思い浮かびます。
面白いのは研究会資料に米国のYOSHI、オランダのシェルTapupという、「ガソリンデリバリー(配達)」が紹介されています。有名なフランス映画、「シェルブールの雨傘」で確か屋内型整備工場でガソリンを給油していました。こういう拡大解釈もありですね。
そして、監視体制が無人化されそうです。一昨年にテレビ番組で暴露されたように、実態として無人が少なくありません。
30年前の取扱商品自由化、20年前のセルフ化と消防規制緩和のたびにSSビジネスは変わりました。検討課題の字面を読むかぎり、SS業態は相当に多様性を持つでしょう。一方、気がかりなのは、ガソリン供給だけで系列垂直統合(配給統制)を進める元売と、セルフ解禁時に「有人」を主張した全石連です。研究会をミスリードしかねないので要注意です。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局