経済産業省HPにこう書かれてます。
「スポット取引の価格等を集計・公表すべきとの提言を受けて、先物市場の検討など…輸入や消費などをする事業者の事業に資することを目的とする。」
経産省が、スポット(業転)で“嗚呼!!花の応援団”です。凄いですね、PB経営者に朗報…と言いたいのですが、実はこの文言、要約して固有名詞抜いています。固有名詞とは「LNG」。文章の原典は、経産省商務・サービスグループです。
石油では資源エネ庁が“業転撲滅頂上作戦”をやっていますが、LNGでは経産本省が“業転買いは事業者の事業に資する”と旗を振ります。
石油と天然ガス、同類なのに大違いです。今や、原油埋蔵や生産量は天然ガスを含んだものが、世界の常識です。石油もガスもCとHの化合物で、カロリー、体積、容積など原理原則で換算できますから。しかし、霞が関の理科では化合せず水素原子と炭素原子に分かれているようです。
天然ガスについて、興味深い報道が続いています。(日本経済新聞より)
まず「造船不況脱出へ光 17年度の輸出船は2倍に回復」。船舶輸出が2倍増という記事ですが、「20年1月からの全世界での船舶の排ガス規制強化への対応が焦点…国内の造船所は従来の重油に代え、液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)を燃料とする船の開発を進めている。」とあります。
「LNG船向け大型補給拠点を整備 世界主要港へ」。国交省が上記のLNG船舶への燃料補給拠点として国内港湾を整備し、アジア最大のLNG供給基地網を構築するという内容です。
これを受けて、「郵船など4社、船舶向けにLNG供給」。日本郵船、川崎汽船、中部電力、豊田通商が供給インフラを整備するという内容です。さらに「三井E&S、環境に優しい船舶用エンジン参入」。玉野造船所でLNGとLPG船舶増加を見込んで舶用エンジン市場に参入です。
ここに言う規制はIMO規制(国際海事機関)で、2020年から船舶油の硫黄分濃度を現在の3・5%以下から0・5%以下にするもの。国交省は、経産省と連動して対応を検討していました。LSC重油への切り替えが有力視されます。しかしハイサル重油や残渣油の増加、連産品のためガソリンなど他油種へのしわ寄せを懸念する意見が出ています。
それが一気に石油を跳び越えて、ガスに動き始めました。重油のうち約3割が舶用です。ガス船舶転換が加速すると、重油ネック(余剰)でさらなる高度化法になりそうです。石油は豪州のように製品輸入を増やさざるを得なくなると思います。
石油に比べてガスは、インドネシア、豪州、北米など地政学的リスクの少ない環太平洋で調達できます。中東リスクに混乱しないのです。
さらに、生産国(元売)によるLNGの仕向地を拘束する契約(流通経路証明書)が、日本政府の抗議によって緩和されて再販可能(業転)になりました。電力、都市ガス、商社以外に海外企業などプレーヤーが数多く競争原理が働きます。船舶がガスに動くのは、石油に比べて安定調達と流動性、融通性にあると思います。なにより、経産省が「花の業転応援団」で安値を煽ってくれますから。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局