COCで10年前に次世代経営者の勉強会を立ち上げました。有志が相互に訪問してSS経営を語り合ったり、テーマを決めて講師を呼んだりと活動してきました。
しかし、よくある「二世会」的な懇親ムードが強まったので、理事長がもっと実務的な会にしようと音頭を取って発展的に解消して、昨年から「ビジネス研究会」を発足しました。例えば、自動車販売とリースの実務では座学だけでなく、会員企業が使用するソフトを使って車種別に顧客の要望に応じた見積書作成を行っています。
次世代経営者は、先代が築き、堅持してきた燃料油主体のビジネスモデルをアレンジし、そこに新しい価値を創造せざるを得ません。大手企業なら不動産という安定収益を持ちますが、独立系の多くはSS数か所前後の規模です。小売り・サービスで独自に利益事業を拡充させる、新たな事業領域に踏み込むといった創業精神が不可欠になります。ガソリン市場が小康状態の今のうちに、可能性のあるものは何でも研究しておこうということです。
◆
会員の要望もあって、先般はコンビニを含めた「フードサービス」で研究会を行いました。オブザーバーに元コンビニ本部で「カリスマ」と呼ばれたSV(スーパーバイザー)で、現在は飲食チェーンを経営する方をお呼びしました。
関心が強まったのは、資源エネルギー庁次世代燃料供給研究会で出されたローソンとイオンの提言が大きな関心を呼んだからです。消防規制緩和を求めたもので、とりわけローソンは論理的に整理された資料を出しているので、消防規制緩和に影響すると思われます。
仮にセルフ監視の無人化が行われた場合、新規参入者が増加する可能性があります。市場成熟はSSだけでなく、どこの小売業界も同じです。頭打ちの客数を一人でも増やしたい郊外型小売業者にとって、セルフのガソリンは魅力的です。
逆に、SSにとってもチェーン加盟あるいは独自に新たな小売り機能を併設するという戦略もあり得ます。だから研究する必要があります。
やはり元カリスマSVのお話は実に面白かったですね。週一回のSV会議で社長から徹底的に叩き込まれたのが、「CVSは弁当屋」だったそうです。
ガソリンと同じで工場を出た時点でどのチェーンの弁当も味に致命的な違いはないそうです。しかし、配送と店舗陳列の時間経過とともに味が変化します。弁当の味を差別化するのは、工場から消費者の口にいかに早く弁当を運ぶかにあります。そこで配送便を1便から2便、2便から3便に増やすほどに売上げが高まったそうです。
弁当の味を決めるのはご飯のうまさであり、お米にこだわります。さらに本部が研究した結果、弁当の味を維持する最適温度が20度と判明するや、保温型配送車を特注し、店舗専用什器も特注で保温型を設置しました。加えて、工場から店舗へのリードタイム短縮のために、配送車両の運行経路で時間のかかる右折を排して左折優先で組んでいるそうです。一定エリアに集中出店するドミナントも弁当の配送時間を考慮したものだそうです。
元SVは現在、飲食店を数件経営していますが、CVSの弁当で学んだ「鮮度管理」が生きているそうです。そして、「事業計画通りに始まる商売はない。リカバリーの連続。利益が出ている今も同じ。お客の舌と勝負するフードサービスは味の改善というエンドレスの試行錯誤」と貴重な教訓を頂きました。
うれしかったのは会員の中にCVS単独店を経営する方がいるのですが、いくつか質問されて万引きなどの「商品消耗率」を答えたところ、元SVは「優秀です。従業員もしっかりしているし、客筋も良い」と絶賛したことです。COCの仲間ですでにフードサービス優秀店がいることは、実に心強いことです。また「消耗率」がCVSの判断基準になるのも面白い発見でした。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局