COC会員有志から義援金を集めて、遅ればせながら村上理事長、石橋監事と帯同して「平成30年7月豪雨」で被災された会員にお届けしました。
岡山県倉敷市真備地区の広範囲に乾いた土砂に埋もれた光景に唖然としました。おそらく河川沿いの平野で緑の田園地帯に住宅が立ち並ぶ景色だったのでしょうが、道路と建物以外は土と倒木に覆われています。多数の住宅は1階部分が空洞です。流入物を排除する作業が延々と続いています。もちろんそこには住めません。
倉敷市の人口調査によると、7月単月で真備地区の世帯数が220も減少、人口も500人以上減少しています。他所に移転しています。
COC会員のSSも計量機の半分まで水没し、周囲は広大な「池」になりました。水が引くと、地下在庫とPOSの無事を確認して、計量機を稼働可能にしていち早く営業を再開しました。地域の商業施設の中でも早い再開で、大きく新聞報道されていました。経営者は計量機と洗車機を入れ替えて営業を維持する考えですが、「水害は恐ろしい。移住する住民が増えれば商圏が消滅しかねない」と語った言葉を重く受け止めました。
この辺りは私が学生時代に運動部合宿で行った経験があります。夏に雨が降らない瀬戸内気候のピーカン続きに“なんでこんな場所で合宿するんだ”と嘆いたものです。それが集中豪雨ですから、月並みですが異常気象ですね。
もう1カ所訪問したのが京都府北部の福知山市です。4年前の大水害に続いて河川氾濫でSSと事務所が冠水しました。直後に電話したら、炎天下の後片付けにてんてこ舞いの女性課長さんが「もう、絶好調ですわ!」と笑っていました。独立系のタフネスを見せていただきました。
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話は変わります。メディアがトヨタ自動車カーディーラーを取り巻く経営環境の厳しさを報じています。経営が苦しいというより「再編」です。トヨタは東京の4販社を統合しましたが、今後、地域ディーラーの統合を進めていくことを明らかにしています。背景には「国内需要の成熟化」があります。
国内自動車産業に「五重苦」があるそうです。①人口減少、②人手不足、③自動車税など税金負担、④車を保有しないカーシェアリングの台頭、⑤EVや自動運転など先進投資の増加です。
人口についてトヨタは、2025年には団塊世代が75歳以上となって運転者が激減することから「販売店の2割は赤字に陥る」と説明しています(日経新聞)。調べてみると、1955年に29歳以下の人口は5500万人で全体の61%あります。この層の大部分が20年後には運転者として自動車産業を支えました。
一方、2015年の29歳以下人口は3430万人で全体の27%に過ぎません。絶対数で60年前の6割しかないのです。国内市場に今後の「のびしろ」が見えないのです。前回書いたように「客不足」です。
トヨタディーラーは「トヨタ」、「トヨペット」、「カローラ」、「ネッツ」の4ブランドよりなります。今後、ブランド統合とディーラーの整理統合が進められます。
トヨタは国内30車種を20車種に絞り込み、全店全車種取り扱いに向かいます。ちなみに、秋からブランド統合に入るJXTGも、現状は4ブランドです。この両社はなにかと親和性があるようです。
COCには本チャンの自動車屋さんがいますが、話を聞くとディーラーとブランドの統合は簡単ではないそうです。主たる顧客層の違い(異なるサービス業態)、整備の仕組みや価格体系の違いがあり、また、ホンダはいち早く「カーズ店」に全車種統合しましたが、一気に軽自動車比率が増えて利益が縮小したそうです。
JXTGも似たような背景でブランド統合、流通再編に乗り出します。来年には出光と昭和シェルです。そこで何が起こるのか、カーディーラー業界をよく見ておきたいと思います。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局