石油連盟統計の2017年度都道府県別販売実績の確報が出ています。
ガソリンは前年度比で3.5%減、約186万㌔㍑の減少です。この数字は四国4県分を超えるものです。つまり、1年で四国の需要が消失したのです。
そして、10年前と比べると▲16.5%で1010万㌔㍑の減少です。これは首都圏4都県にほぼ匹敵します。
ガソリンは、ひたすら縮小均衡の道を歩んでいます。“SS数が減少して分子(SS数)が小さくなる。残ったSSには「残存者利益」が来る”という甘い考えは捨てた方が良いでしょう。1年で四国が消える勢いです。ガソリンにこだわれば、残存者間競争=食い合いになるだけです。
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再編予定の某元売系列では、統合までに販売実績を少しでも“ドレッシング”しておきたいのでしょうか。大手店がCOC会員直近に新設して、毎週のように給油でティッシュプレゼントの波状攻撃を継続しています。
COC会員はマージンをきちんと取る会社ですが、系列SSは店頭価格を合わせながら、ティッシュで実質値引きです。しかもガソリン来店を目的としたものです。
この系列SSを良しとは考えませんが、販促活動は小売業にとって不可欠です。どこの小売業も成熟で客不足に直面しており、販促活動で商圏に刺激を与えて来店促進を図っています。
価格の目玉商品や来店促進企画で客数を増やしたうえで利益商品に誘導して客単価を高めて、投入販促費用と利益効果を考えています。
最近は、前にも書きましたが吉野家とガストが業態間、企業間を超えて販促同盟を結ぶ事例も出現しています。相互に価格メリットをうたいながら、利益メニューの購買促進や、利用体験で女性など新たな属性の顧客層を呼び込むという目的(=増客・増益)が明確です。
では、ガソリン来店促進販促にどういう意味があるのでしょうか。もちろんオープンイベントや創業祭で市場に刺激を与え、店舗を告知することは有効です。
しかし、まともな小売経営者なら、販促を機に客単価を上げる、車検や車販など主力商品の購買率を高めるという利益のゴールがあるはずです。ガソリンを増やして満足というのは、すでに自由化前に終わった方法論です。
ガソリンのようなコモディティは市場価格で決まるので、ほんらい販促余地はない商品です。1㍑30円粗利の昔はともかく、セルフ主体となった市場にガソリン単品で継続的な販促は、“ふつうの人”にはありえません。私に言わせれば、ガソリンでポイント付与しているのもおかしな光景です。消費者にとっては高額のガソリン代でポイントが溜まりやすい魅力はあります。しかし、ポイントを使う場所はコンビニやファミレスであり、SSはひたすら胴元からポイントを購入してばらまいているだけ、が実態と想像されます。
しかし、ガソリンを売らないと成り立たない石油会社の宿痾(しゅくあ)でしょう。SSをティッシュとガソリンの交換所にしてでも数字が欲しいのでしょう。
1年で四国4県の需要が消える時代、「ガソリン原理主義者」とは訣別して、「利益業態確立」に生きるのが給油機能を持つ小売業者の道と考えます。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局