前にも書きましたが、トヨタのディーラー再編を日本経済新聞がトップで報じました。4ブランドのディーラーを1つに統合し、国内販売車種を絞り込み、カーシェアリングにも参入するという内容です。
ちなみに、この情報は経済紙・誌が7月頃に報じているもので、ニュースとして新奇性はありません。日経新聞ならではの、今さらネタをトップでいかにもスクープに見せかける伝統芸はさすがです。閑話休題。
最近SSで新車の販売が当たり前になっていますが、ディーラーはSSなど業販チャネルのロジスティクス(兵站)を担います。SSやネット販売の無店舗販売をリアル店舗で担保している存在です。
30車種を20車種に絞り込むとは言え、ショールーム、駐車スペース、整備の拡充などハードのインフラ強化が不可欠になります。こういう点から、トヨタの戦略転換は確実にディーラーの整理淘汰をもたらすでしょう。
石油業界では、10月からJXTGのブランド統一が始まります。自動車と違ってコモディティによるブランド統合です。立地・設備・コスト(価格)で決まるセルフSSと収益力のあるSSに選別されることは間違いありません。
トヨタはディーラーが2割減少と見込みますが、SSはカーディーラーよりも激しいと思われます。というのも、最近、幾つかの広域販売会社のSS数をカウントしてみたのですが、ブランド統合や来年度の出光・昭シェル統合を前に店舗数を半減させているケースが複数見られます。
ただし、SS過疎地が声高に叫ばれる中で地方の中小店がどうなるかが問題です。
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業種を問わず系列店の整理淘汰が進む一方で、家電系列店の存在がクローズアップされています。日経新聞の別の記事は概略こう伝えます。
「ソニーと日立製作所は、地域に密着した日立の系列店「日立チェーンストール」でソニーの「ブラビア」ブランドのテレビの販売を始める。両社は出張修理サービスで連携している。協業で効率性を高め国内での生き残りを図る。」
日立とソニーは、市場成熟の国内市場で零細な系列店をブラビアの主力チャネルに位置付けました。単品物販ではなく迅速な修理、部品交換など家電店の機動性を再評価したのだと思います。家電店は量販店とネット通販の波の中で激しく淘汰されてきましたが、パナソニックも系列・非系列に関わらず、家電店という業態は1960年代に確立した古い業態です。量販店とネット通販で淘汰の波に揉まれましたが、修理、住設という技術と電池一個でも届ける機動性が成熟市場に適応した新業態として再評価されています。
家族経営のSS事業者に参考になると思います。実はCOCのPB店の多くは、系列サブからの脱藩組で、かつ三ちゃん経営で、数少ない顧客の御用聞き、何でも屋を原点とします。巨大なネットワーク再編は元売と「ガソリン大手店」に勝手にやってもらって、小商売を見つけて三ちゃんの懐を少しずつ豊かにする。過疎地だから、零細だからやれる。理屈でなく、そんなサブ店さんが存在します。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局