連日、どこそこでコロナ感染者が出た、死者が何人になったというニュースばかりで気が滅入る。愛知県も3月8日現在感染者数が80人で北海道に次いで2番目に多い。死者はいまのところ1名だが、これから増えてゆくことだろう。そんなさなか、名古屋市内で女子マラソンが開催され、優勝した日本人選手は東京オリンピック出場枠を獲得した。インタヴューで“オリンピックではかっこいい走りを見せたい”と喜びを語っていたが“オリンピックできるのかな~”と本人も含め皆が半信半疑になっているんじゃないだろうか。最近の世論調査でも、オリンピックを開催しないほうがよいと答えた人が4割近くになっている。
中国での感染者数は漸減傾向にあるようだが、案の定、世界各地にウイルスが広がり、特にイタリア、イラン、韓国で死者が急増している。米国でも8日現在、34州で感染者が500人を越え、死者は22人となっている。ニューヨーク州やカリフォルニア州など9つの州で非常事態宣言が発令され、日用品や食料品の買占めが始まっているとのこと。そして、暴動などを見越して、銃器用の弾薬の売上げが急増しているらしい。さすがは“銃大国アメリカ”だ。
日本でも、一刻も早く新型ウイルスを抑え込まないと、経済・医療・教育・治安等々社会の様々な機能がマヒしてしまうというわけで、一時的に国民生活を国家が監督・規制することもやむなしとの世論が形成されつつあるようだ。ひと月ほど前に、中国で、ウイルス感染者が外出できないよう、警官が自宅ドアにベニヤ板を貼り付けている映像を見て“中国は怖いな~人権も何もあったもんじゃないな”なんて言っていた人も、先日、愛知県蒲郡市で、ウイルス検査で陽性だと診断された50代の男が、自宅待機を無視して飲食店をハシゴし、ウイルスを撒き散らしたというニュースを見たら“日本も中国ぐらいの厳しくしないとだめだろ”と意見を翻したりする。世の中にヒステリックな雰囲気が広がりつつある。
どこもかしこも自粛、自粛。スポーツジムにも行けない、居酒屋にも行けない、ライブハウスにも行けない、というわけでストレス発散できずに、家で悶々としている人たちが大勢いるのだろうが、それ以上にストレスを感じているのは、今回の災禍でお客さんがさっぱり来なくなってしまった飲食店や小売店の経営者だろう。「普段の2~3割」という言葉に“ふ~ん”と思って聞いていたが、「2~3割減」じゃなくて、「2~3割しか来ない」、つまり7~8割減ということだと理解して“うわ~”となった。そりゃキツい。一気に奈落の底に突き落とされたような感覚。そして、先が見えない不安。一刻も早く「終息宣言」がなされる事を祈るよりほかない。
8日には大相撲春場所が始まったが、無観客での開催。その前に、プロ野球オープン戦の中継も見ていたが、もとからトランペットや太鼓などの応援が耳障りだったせいもあって、無観客でも、これはこれでいいじゃないかと思ったりしたのだが、相撲はやはりもの凄い違和感を感じた。拍手や声援のない静まり返った館内。これじゃあアドレナリンなんか出るはずない。取り組み自体も、全体的に淡々としていて全然おもしろくない。開催取りやめにしたほうが良かったんじゃないだろうか。
あと150日ほどでオリンピックだが、もし開催中止になると7.5兆円の経済損失をもたらすと試算されている。無観客での開催でも莫大な損害が発生する。そうならないようにと日本政府は必死なのだが、事は日本一国だけの話ではない。というか、日本以外の国はオリンピックどころじゃないだろう。こうしてコラムを書いているあいだにも、日本全国、世界各地から感染拡大のニュースが続々と報じられている。果たして人類はこの戦いに勝つことができるだろうか。
セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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