トランプ大統領は2020年末までに、2000万人にコロナワクチンを接種させると公言していたがまだ420万人にとどまっており、2000万人に到達したのは感染者数の方だった。死者数も34万6千人余りで、群を抜いて世界最多。一方、ロシア政府は先月28日、同国内のコロナウイルスによる死者数が、これまでの統計の3倍以上に当たる18万6000人余りであることを明らかにした。二つの超大国の指導者が、マッチョなイメージを保とうと強がっているあいだに、ウイルスはみるみるうちに拡がっていった。
そんなわけで、2021年の幕開けは、この先まだまだ試練が続く事を予兆させるものとなった。日本でも、大晦日に東京都で過去の記録を大幅に塗り替える1337人の感染者数が出るなど、全国で初の4千人台を数え、東京都小池知事は、緊急事態宣言の再発令を政府に要請したとのこと。半年かかっていろいろやってきた結果が、「振り出しに戻る」とは、いやはや何とも…。所詮、「アクセル」と「ブレーキ」を同時に踏むなんて、F1ドライバー並みの操縦は、日本政府には無理だったということか。
一方、先月30日、東京証券取引所は2万7千円を越える高値で大納会を終えた。年末の終値としては31年ぶりの高値で、春先には1万6千円まで落ち込んでからの急回復。市場関係者は今年は3万円の大台に乗る可能性もあるとしている。何とも不可解なことだが、ワクチン実用化で希望が見えたからというのであれば、航空会社の株はいまが“買い”のはずだが、そういうわけではなく、どうやら、ステイホームによって一般投資家が増殖したことが主な原因らしい。実体経済を反映していない株価の上昇は、「恐慌」の前触れではないかと勝手にハラハラ…。
いずれにせよ、今年も先の見えない、不安と苦悩に満ちた月日が続くことは間違いなさそうだ。いまだ、私のまわりでウイルスに感染して隔離・入院したという人はいないが、いつ、自分がそうなるとも限らない。以前私が大腸炎で入院した総合病院でも、70人余りの感染者が出るクラスターが発生した。身近な場所でそうしたことが起きると、やはり恐怖を感じる。とりあえず、愚直に、マスク、手洗い、そしてフィジカルディスタンスを守り行なって一日一日乗り切るしかない。
それにつけても、やはり気がかりなのはGSという商売の行く末だ。EV時代なんて、まだ来るかどうかわからないような“未来”の事を心配する余裕なんぞない。この先、コロナとは長い付き合いになりそうだと観念し、コロナ禍だからこそできる集客や販売のノウハウを思考してゆくことが喫緊の課題ではないか。
コロナ禍でのビジネストレンドというと、すぐにネットやSNSの活用が真っ先に挙がるが、実際、GS業界はそれらを活用して収益改善を図るには至っていない。「PayPay」などのスマホ決済は、今後有望な販促ツールとなるだろうが、他の小売業と比べて普及が進んでおらず、認知度も低いままだ。加盟店手数料もまだまだ高い。それに、スマホ決済でただガソリンを安く売るだけなら、いままでと何ら変わりがない。○○の一つ覚えだ。
店頭で何かを販売するアナログな商売が手っ取り早いのかもしれないが、これも何を売ったらお客さんに喜んでもらえるのかよくわからん。GSというところは、余程異業種との相性が悪いのかも。最近ネットで、ステイホームのおかげで、プラモデルが空前の売上を記録しているという記事を読んだ。さらに検索すると、東北の自動車販売店が、スタッフが好きだった「ガンダム」のプラモデル、略してガンプラを店内で売り始めたところこれが当たり、次第にガンプラだけを買い求めるお客も増えていったとのこと。やがて「車好きの人にはガンプラ好きな人が多い」ことが判明、お客の来店頻度が向上し、コロナ禍でも来店客数を落とすことなく営業しているのだそうだ。商売繁盛のヒントは、案外身近で、安価で、一見無駄に思えるモノから得られるのかもしれない…。
セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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