vol.682『ハゲ割』

『全国20カ所にホテルを展開する「ホテルテトラ」(本社・北海道函館市)が、髪の毛の薄い客の宿泊料を割り引く「ハゲ割」なるサービスをしている。特にPRをしているわけではないが、口コミで広がっている。割引額は1泊あたり300~500円で、ホテルによって異なる。きっかけは、「部屋の掃除で、排水溝の髪の毛の処理が一番の手間」という従業員のぼやきだった。それを聞いた三浦孝司社長が、掃除の手間がかからない薄毛の人の宿泊料を安くしようと即断。2014年8月から「層雲峡マウントビューホテル」(上川町)で始め、全国の系列ホテルに広げた。

『三浦社長自身もスキンヘッドで、ホテルの玄関口では社長のマスコット人形が出迎えている。割引を受けるには、チェックアウトの際にフロント係員に申し出る。係員が頭髪の薄さを見て割引対象になるかどうかを判断する。明確な基準はなく、生え際が後退しているだけの人は微妙という』─11月6日付「朝日新聞」。

最近、「生え際が後退している」私はどうだろうか。微妙かな?と妻に尋ねたら、「あなたは“立派なハゲ”だから、間違いなく割引が受けられる」と太鼓判を押されてしまった。もし、出張先で、このホテルグループの系列店があったら、ぜひとも宿泊して、割引対象になるかどうか試してみたいと思う。(私は何を意地になっているのだろう)

GSに来店する客は、ハゲだろうがフサだろうが関係ないけれど、あえて言うなら、髪の毛は静電気を発生させるので、毛が少なければ少ないほど“安全”かも。(笑) しかし、ハゲの人は頭が冷えるので、逆にニット帽などをかぶっていることが多いからかえって危険か。いずれにせよ、今年も、空気が乾燥するうえ、帯電しやすい衣類を着込んで給油する季節になったので、お客様への注意喚起が必要だ。

GSで、“これこれの人は手間が省けるので割り引きます”と言えるような対象が何かあるだろうかと考えてみたが、これと言ってない。むしろ逆に“スタッフ給油を希望する場合は1㍑あたり○円高”とか“窓拭き用タオル1枚□□円”というように、付帯サービスを有料化しなければいけないと思う。もちろん、その結果、ほとんどのお客様は自分で給油し、窓拭きなどせずに店を出てゆくことになるのだが。セルフ方式は、それまでGS側が必要だと思い込んでいた各種サービスが、それが無料でないのなら、なくてもかまわないものだったことを示したのである。

日本でセルフ方式の給油所が認可されてから、まもなく20年。私は、国内のGSの7割から8割りぐらいがセルフになるだろうと予想していたが、いまだ半分にも達していない。セルフを「ローコスト」オペレーションと捉えず、「ロープライス」オペレーションとして運用してきたことが、健全なセルフ化を阻んでしまった。いまからでも遅くないので、ツルツルの客でもフサフサの客と同じ料金を頂いている床屋業界に倣って、セルフも適正価格で販売し、人件費削減分は利益に充てるようにしてもうける仕組みにしなければ、フルもセルフも共倒れになってしまう。

ところで、大抵のGSでは、揃いのユニフォームを着用し、帽子をかぶるよう定めている。そのため、毎日帽子をかぶっていると頭が蒸れて髪の毛の発育に悪影響を及ぼしハゲになるんじゃないかと心配しているスタッフがいるかもしれないが、男性の脱毛のほとんどは遺伝によるもので、帽子云々は関係ないのだそうだ。むしろ、男女関係なく、抜け毛の原因となり得るのは「ストレス」。ストレスによって髪の主成分を構成する亜鉛が不足したり、血流不足によって髪が栄養不足になったりするのだそうだ。

GS業界の経営者は、厳しい環境下でストレスがどんどん溜まっている。私もその一人。これからも、私の髪の生え際はどんどん後退してゆくことだろう。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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