COCと独立経営<674> キャッシュレスに棹さす霞が関 – 関 匤

石連統計で8月の都道府県ガソリン実績が出ました。前年比97.9%です。意外でした。猛暑のエアコン効果で相当伸びたと思っていました。7月は天候不順もあって91%でした。最需要期が減販となり、ガソリン市場の縮小がもはや構造的になってきました。

日経新聞に大都市の減販はカーシェアの効果ではないかと書かれていました。燃費向上だけでなく、自動車の保有と利用で変化が出ているようです。

さて、消費増税の10月が始まりました。12月商戦が大きな試金石になると思いますが、政府や企業独自のさまざまな事前対応の効果が今後明らかになるでしょう。

今回の増税で最大の話題は、政府のキャッシュレス補助制度です。

増加する外国人旅行者が、言葉の壁よりも大きな不満を持つのが現金決済です。東京五輪を控えて、増税の景気対策を絡めてキャッシュレス化を推進する狙いです。

中小の飲食店、商店などにはキャッシュレス端末を無償配備させて、期間限定ながらカード手数料引き下げで顧客には5%のポイント還元という魅力的なものではあります。

一方、SSは2%還元のみです。しかもクレジットカードは個別契約したカードが対象です。系列SSの一般提携カードはポイント還元のらち外となります。

元売は個別契約の元売ブランドカードには、カード会社の還元を利用しています。還元対象外の大企業特約店には元売が還元分を自己負担しています。

政府(経産省)の事業にはもう1つ、キャッシュレス決済事業者登録があります。独自に電子決済ツールを運用する会社がこれに登録すると、たとえばSSプリカなら消費者に2%を直接還元できます。還元分は補助金でまかなえます。

また、政府事務局(経産省)あてに決済データを送信するソフト開発費用と店頭告知費用なども全額補助されます。

独自クレジットやプリカを運用する独立系にとって魅力的な制度です。ということで、さすがCOC会員たちは果敢にチャレンジしています。

物凄く面倒な書類を山ほど提出しては修正しながら、経営者が独力で登録申請しました。9月末時点で「登録事業者」となったのは、石油業界で9社あります。うち7社がCOC会員です。本当によく頑張っていると感心します。

しかし、話はこれからです。登録してからの事務局のリクエストが断続的に襲来するのです。申請時に了解していた事項を覆すようなことを言ってきたり、登録してからレシートの記載方法の変更を言ってきたりしています。2社が10月1日から稼働していますが、残りは仮登録扱いです。

10月1日現在、全国で983社の登録事業者ですが、「加盟店受付開始事業者」という稼働企業は4分の1程度です。7割が増税時に間に合っていません。経産省と事業者の間で相当紛糾していることでしょう。なにしろ今年春から面倒な書類申請をさせておいて間に合わないのですから。

明らかに事務局=経産省の問題です。決済市場を舐めたんじゃないでしょうか。日本人は賢いですから、中小企業でも経営に対応して独自システムを開発したり、カスタマイズしたり工夫を凝らします。膨大な決済が存在します。また、業種業態によって決済の流れに特徴があります。

そこに元来、商業に関心のない官僚が決済という繊細で複雑かつ個性的な世界にくちばしを挟むから混乱をするのです。

霞が関のルールでは不備があろうとも、登録事業者にはスタートさせることです。メディアが話題にするほど様々な還元事業が展開される物量戦にすれば、キャッシュレス比率向上という結果はおのずと出ますから。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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