またまた、石油価格を巡っての“疑惑”が報じられています。
「神奈川県内の法人向け軽油の販売価格についてカルテルを結んでいた疑いが強まったとして、公正取引委員会は5月27日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いでENEOSグループのENEOSウイング(名古屋市)や東日本宇佐美(東京・文京)など石油製品販売会社6社に立ち入り検査した。関係者への取材でわかった。」(日本経済新聞)
この記事には続いてこう書かれています。「ほかに立ち入り検査したのは太陽鉱油(東京・中央)、伊藤忠エネクスグループのエネクスフリート(大阪市)、キタセキ(宮城県岩沼市)、吉田石油店(香川県三豊市)」
東京六大学野球は自らを「TOKYOビッグ6」と称していますが、記事に出た社名はまさに「フリートビッグ6」の揃い踏みです。軽油市場を牛耳っている人たちです。
事実関係は分かりませんが、長野県のガソリン価格談合疑惑と同様に“関係者への取材でわかった”とあるので何らかの内部告発があったのでしょう。
日経記事中に「不当な取引制限」とあります。公正取引委員会HPによるとこうあります。(要旨)
「(複数の企業が)話し合って『カルテル』を結ぶと、競争がなくなり、高い価格が設定されます。消費者は本来ならば安く買えたはずの商品を高く買わなければならなくなります。消費者のメリットが失われますので、『カルテル』は不当な取引制限の一つとして禁止されています。『カルテル』は、商品価格を不当に吊り上げ、非効率な企業を温存し経済を停滞させるため、世界中で厳しく規制されています。」
独禁法の賞罰ですが、GoogleのAIさんによるとこうです。
「不当な取引制限に対して、個人には5年以下の懲役または55万円以下の罰金、法人には5億円以下の罰金が定められています。独占禁止法違反は刑事罰の対象であり、違反行為を行った個人は逮捕・勾留される可能性があります」(下線筆者)
というようなことを書いていると「お前は公取の手先か!」の罵声が聞こえてきます。
私は「コンプライアンス」という言葉が好きではありません。日本人には古代から育んできた「道徳律」があって、わざわざ法令や規範で規定されなくとも、良いことと悪いことを識別する能力を持っていると考えています。言葉で規定しなければならないのは、人種も宗教も多様な欧米諸国だからこそと考えています。
ところが「大きい会社」のエリート様たちは欧米の規範は素晴らしいとばかりに「コンプライアンス」に飛び付いています。
今回のフリートビッグ6の中に、元売の連結子会社があります。大元のホールディング企業の規範を共有しています。こうあります。
「(1) 私たちは、コンプライアンス(法令・契約・社内規程類等の順守)を徹底し、社会規範に適切に対応します。
(2) 私たちは、コンプライアンスに違反する状態を放置せず、また加担しません」
「状態を放置せず加担しません」のであれば、報道の「関係者への取材でわかった」状態を忌避したはずです。
コンプライアンス(法令順守)などと横文字をご本尊に仰ぐから、矛盾が出た時に企業が口にする倫理観が嘘になってしまうのです。
コンプライアンスを口にするなら、まず同業者との飲食・ゴルフは絶対に禁止すべきでしょう。「李下に冠を正さず」です。
今のところ談合疑惑報道ですから、「事実無根」であることを祈念致します。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局