COCと独立経営<695>原油変動期に流通変革も起こるが… – 関 匤

コロナ禍による世界経済停滞で原油価格が大きく下落しています。11日のWTIは32.98㌦、9日は31㌦まで下げています。

2019年のWTIは50160㌦のレンジで動いていました。年初の専門家の予測ではOPECとロシアの減産協調と地政学的リスクも手伝って、20年前半は高め、後半に下げといった観測が多かったのです。しかしここにきて、減産どころかサウジもロシアも増産競争です。米国のシェール企業が原油安で損益分岐点を割ったという判断でしょうか。主導権奪還に動いているようです。

シェール企業は「4年以内償還社債860億㌦うち6割がジャンク債」(経済産業研究所・藤和彦氏)と言われ、破綻が相次げば信用不安からリーマンショックが再来しかねません。

31㌦というのは、WTI石油先物取引が開始された1983年の“逆オイルショック”や、長期市況低落が始まった1990年レベルです。2014年に100㌦から年明け40㌦台に大暴落していますが、この時は石油需要が伸びていたので、16年以降は60㌦前後の値動きになりました。今回はコロナ禍終息が見えないままの経済停滞で、最大消費国・中国を始め石油需要が落ち込みます。

シンガポール市場で10日のガソリンは1カ月で20㌦下落して43.6㌦です。円L換算でざっくり29円です。揮発油税、消費税を載せても95円程度です。ガソリン価格サイトで121円市況が見られますが、輸入採算に合うレベルと想像されます。

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柄にもなく原油情勢を書いていますが、原油価格が長期の高止まりや下落が続くと必ず新しい動きが出現します。

100㌦前後の時期にシェール企業群が成立して、米国を100年ぶりに最大の産油国に復権させました。逆に、90年代の長期低落期には石油メジャーの再編が起こっています。それは小売り分野にも波及します。

90年代、私は米国でハイパーは出現しないと考えていました。メジャーなど大手10数社に地域の独立系石油会社など100を超える石油ブランドが存在しました。各社が独自のコンビニ業態を展開し、クイックルブや多様なメニューのカーウォッシュを複合するものも少なくありませんでした。

セブンイレブンなどコンビニ系も、サインに小さく石油会社ブランドを表示していました。現在の元売系コンビニ業態に近い形でした。

ところが90年代半ば、米SS専門紙NPNが「ハイパー特集」を掲載しました。ウォルマートやコストコにSS併設店はありましたが、日本のイオン、出光にSS売却したジョイフル本田のように限定的でした。この勢力が本格的にSS展開を始めたという記事でした。

原油安にアジア金融危機が重なって精製マージンが取れず、石油会社の精製販売部門の収益が悪化していました。製油所を売却して、買った化学会社が独自の分解技術で稼働率と白油生産性を高めました。彼らの供給戦略がその後のハイパーやコンビニの追い風となります。流通系が業態革新でしのぎを削りながら、石油系のネットワークを買収するなど拡大し続けています。ガソリンを売るコンビニだけで100以上のブランドがあるでしょう。

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日本では…この局面では輸入が増えて、西日本のPBがガソリンで少し元気になる程度でしょうか。市況に振り回されない小売業として、系列非系列、企業の大小問わず、経営者の才覚で利益を創造する動きに期待したいのですが。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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