COCと独立経営<701>GWのガソリンは5割減? – 関 匤

厚労省が毎日公表するコロナ感染状況データをチェックしています。5月6日公表では、感染者総数1万5354人、死亡者合計543人です。20日頃までは毎日500人前後の感染者が出ていました。ゴールデンウイーク(GW)の六日間で見ると250人となり感染ペースに鈍化が伺えます。GW前6日間が270人でした。楽観はしませんが、徐々に改善が見えてきました。

そのGW期間中ですが、予想はしていたもののガソリン販売はガタ落ちになりました。私が聞いている話では、首都圏で40%以上マイナス、東京メトロは5割以上ということです。

GWは都会から地方への大移動が起こる時期です。首都圏から放射線状に走る東北道、関越道、常磐道、東名道など高速ICに絡む北関東、甲信越、静岡などのSSは、首都圏よりも下落幅が大きくなったかもしれません。そもそも高速沿線の行楽地の多くが閉鎖されていますから、消費者はGW中に高速に乗る目的を失っています。

北関東の某SSは、通常、フルサービスで150㌔㍑販売していますが、GW中に「1日2.7㌔㍑」の日があったそうです。「昭和40年代のレベルに戻った」と寂しそうに笑うしかありません。

さすがに入れ物が無くなってきたこともあって、7日現在、終値が出ていませんがWTI原油価格は23㌦台に戻りました。

米国の石油供給は、平常時の2千万BDが四月第二週に1300万BD台まで激減しました。しかし四月最終週、5月第一週は1500万BD台半ばまで回復しました。

ほぼ半減して500万BDまで落ちたガソリン供給も4月下旬から上向いて5月第1週は670万BDまで戻しています。逆に国内原油生産は徐々に削減されて、通常時より100万BD近く低くなっています。こういう需給面も原油市況の反発の背景にあります。

米国はコロナ感染者が120万人で7万人超の死者を出しています。人口比で見た場合、感染率は日本の30倍です。しかし、石油供給が増加していることは、コロナ対策を進めながら経済活動も本格再開に向かい始めたと考えられます。

たくましいなと思ったのは、Yahooニュースで筑波大名誉教授の遠藤誉氏が書いた「中国の巨大タンカー84隻が一斉にペルシャ湾めざす」です。原油が暴落するや3月中旬以降、84隻のVLCCをサウジに送りこんで“原油の爆買い”をやっているそうです。

こう書くと“この時局に不謹慎”と言われそうですが、日本でも“飲食店かわいそう”だけでなく、コロナ出口戦略とコロナ後の話を聞きたいところです。

SS業界でコロナ出口戦略を実践しているのが北海道市場です。ガソリン価格サイトを見たら、95円、96円、97円…とファンタジーなガソリン価格が並んでいます。PBが主導して、系列SSが100円でギリギリ踏ん張っている感じです。

北関東のCOC会員によると、同じマークの元売直営とフリート2社がまたぞろ、自動値引きとカード値引きの合わせ技で店頭より四~六円安くしているそうです。

経験したことのない減販規模の渦中で、ガソリンを大きく扱う会社ほどキャッシュフローのダメージは大きくなります。業界内に減販しても粗利を維持というコンセンサスが出来上がった感がありますが、なまじ粗利があるぶん値引き=拡販をしたくなる業界人の性がぶり返しているようです。

北関東のように同じマークの有力店が市場をかき回すほどに、他の同系列店から顧客を引きはがすことになります。コロナ禍にかこつけて、系列SSの整理を進めているのかと勘ぐってしまいます。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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