COCと独立経営<747>「リテラシー」という情報検証 – 関 匤

20日のCOCZOOM研修会で岩瀬昇氏のお話を聞きました。

岩瀬氏は、4月まで経産省が開催した「石油天然ガス小委員会」で委員を委嘱されていました。小委は“カーボンニュートラル”の2050年に向けて、石油と天然ガスの位置付けを検討する目的と理解しています。

報告書案に「日本企業が海外での資源権益を確保し、直接その開発・生産に携わることで、生産物の引取を行う、いわゆる自主開発の推進を図ることは極めて重要である。」と書かれており、日本は石油・天然ガスを有効活用しながら、効率化技術開発や再生エネルギーでCO2を引き算して2050年に向かうとこれも勝手に理解しました。

さて、岩瀬氏をお呼びしたのは、「エネルギーリテラシー」という言葉を強調されているからです。私は個人的に岩瀬氏のコラムが掲載される新潮社のウェブマガジン「フォーサイト」を購読しています。その中で何度もこのリテラシーという言葉が登場します。

「リテラシー」とは簡単に言えば読解力です。マスコミが「洋上風力発電でゼロエミッション実現!」とか「水素社会へステーション拡大!」なる報道を大々的に流した時に、見出しに狼狽するのではなく一度立ち止まって考える。それがリテラシーです。

「英国や米国のように遠浅の広い海岸がない日本で洋上風力は設置コストがけた違いになる。発電コストを経済界が吸収できるのか?」

「水素は石油やガスと違って水素単体で自然界に存在しない。必ずH2OとかCH4とかの化合物になっている。水素を取り出すには電気分解や熱分解が必要。そのコストは容認されるのか?」

というように原理原則で突っ込んで考えることがリテラシーです。

岩瀬氏は三井物産で一貫して原油・ガス調達やトレーディングの実務に携わっています。原油を当時物産子会社であった極東千葉製油所に入れて、必ずアンバランスになるモービル石油と三井石油の販売計画との需給調整も行っていたそうです。COCの皆さんには「極東玉は岩瀬玉」と冗談を言っておきました。

東西冷戦時代には、欧州の石油会社から三国間取引で決済の済度を使って、某東側国の資金繰りスキームを提案されるなど、石油という資金を使った国際取引に関わっています。

それだけに、資源のない国である現実、石油で負けた先の大戦の経験が本当に日本人の遺伝子となっているのかを疑問視されています。

石油天然ガス小委に、メディア代表としてテレビ局の女性解説委員が参加していて意見を述べています。非常にまじめな方だと思いました。曰く、「エネルギーをどう報道したら視聴者に伝わるか自信がない」、「えらい人たちがやっている仕事」。

本当に真摯な本音です。またぞろ緊急事態宣言ですが、・・・

 

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