COCと独立経営<611>EVの予想に眉唾 – 関 匤

日産取締役で元CEOの志賀俊之氏が大胆な発言を行っています。

個人的見解として、ガソリンスタンドが2050年に無くなる、自宅から駐車場が無くなる、信号機が無くなる、免許証も無くなるそうです。EV化に加えて、自動運転が普及すればこの4つは不要になるということです。

急速充電器チャデモ規格の協会長でEV推進役というバイアスはありますが、えぐい発言です。“日大殺人タックル”並みのインパクトです。もっとも2050年の予測ですから、志賀氏も私もこの世で確認できるかわかりませんが。

自動車のこれからについては、COCではけっこう真面目にいろいろ方々に話を聞いています。小売経営者の優先順位は、消費者相手の日々刻刻変化と判断であり、大企業取締役のように30年先を考える暇はありません。それだけに役所やメーカーから予測が出て、新聞報道されると今後に不安を覚えることになります。

私も自動車技術なんて分かりません。ただし、検証はできます。過去に“権威ある識者”から出された、エコカーやEVの普及予測と現状を比較するだけです。

経産省の次世代自動車戦略研究会「次世代自動車戦略2010」の予測があります。10年前のエコカー普及予測です。雄々しく謳いあげています。

「新車販売のうち50台に1台の割合である次世代自動車(ハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル車、CNG車等)について、2020年までに新車販売のうち2台に1台の割合で導入するという野心的な目標の実現を目指す」(傍線筆者)

2020年の新車販売のうち

①ハイブリッドHVは20~50%

②EVは15~20%

③燃料電池車FCVは1%未満

になると明記しています。

直近のデータではないのですが、自動車工業会の「次世代自動車販売台数の推移」によると、2016年度でHV128万台、EV2.5万台(うちPHV9000台)、燃料電池車1100台…で合計145万台。

この年度の新車販売台数は508万台(自販連)です。

①エコカー比率は28%

②HV比率は25%

③EV比率は0.5%

④FCV比率は0.02%

HVは経産省予測通りです。しかし、HVはほとんどガソリン車です。

プリウスに乗る従妹に実燃費を聞いたら16㌔㍍と言います。私の中古カローラフィールダーは結構モノを載せていますが、14㌔㍍走ります。HVって、本当にエコカーなのかと疑念がよぎるところです。

EVは「15%」どころか、予想の30分の1。誤差どころじゃない大ハズレです。しかも約4割は、ほとんどガソリン車のPHVです。FCVにいたっては1%どころか、5000台に1台です。もはや“ウルトラ変質者の確率”です。

ガソリン車であるHVやPHVの予想は立っても、EVやFCVについては予想が意味を持たない現状であるということです。だから欧州首脳のEV化発言も、眉に唾して見た方が良いでしょう。新聞報道(とりわけ日経新聞)に惑わされないことです。

ただし中国は、“とりあえずやっちまえ”の国なので要注意ですが。自動車メーカーは国内でなく全世界で販売を考えていますから。

しかし、日本で車を選ぶのは消費者です。地方都市は自宅で充電できるからEVが便利とメーカーが喧伝しても、軽と軽トラのメッカである地方の消費者が何を選ぶのかがカギを握ります。

志賀氏のような発言があるたびに、COCの会員も将来に不安を覚えます。しかし志賀氏発言はEV拡大の思惑臭がプンプンです。仮にEVが拡大しても、小売業には必ずビジネスチャンスがあるし、中小企業の変化対応力で何とかなると確信しています。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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