COCと独立経営<625> 正しい情報を伝えない伝統 – 関 匤

前回、緊急時にSNS情報の有効性を認識したと書きました。

私自身はよちよち歩きで、ツイッターやインスタとか無関心です。しかし、思い出すのは東日本大震災の際に、首都圏である石油会社に対する非常に無責任なツイートが飛び交い、デマがデマを拡大再生産した事態を思い出します。「緊急時の最後の砦」を自負するなら、積極的にSNSを利用すべきと思います。

以前書いたと思いますが、旧エクソンがアラスカでタンカー座礁、原油流出事故を起こした時に、事情も様々ありましたが、企業が現地に入る前にメディアが先駆けして報道が先行してしまいました。大組織ならではの社内事情もあって後手後手の対応を行ううちに、エッソSSの店頭でエッソカードにハサミを入れる消費者の姿が報道されました。

一方、別の会社は製油所が地域を巻き込む爆発事故を起こした時に、1時間ごとに記者発表しています。何の進展もなくともその事実を伝えたそうです。どんな賠償も受け入れるとまで広報しました。

最終的に対応の違いで、エクソンの風評被害と損失は屋台骨を揺るがすことになりました。これは某社広報部長が書いた著書にあります。

現地のSSを気にする人は、当事者である役所や会社(SS企業も含めて)からの情報発信が欲しいのです。デマが出たら事実をオープンにして瞬時に否定する。それが民心のいたずらなパニックを阻止するはずです。私もイライラしながら情報を検索していました。

石油業界にはどうも「正しい情報を伝えない」伝統があるようです。

独立系の場合は自分で考えるしかないのですが、元売系列店の場合、特約店によって「情報温度差」があるようです。また、特約店とサブ店間にもあります。

とりわけ、来年には「元売3社時代」という高度化法を機に進んだ元売再編が一つの完成を見ます。同じ系列内に完結することによって、取引条件は大きく変化します。であれば再編元売は「特約店」をきちんと定義して知らしめる義務があるはずです。そのうえで個別に砕いた話をするのが、取引の筋です。

たまに小規模特約店に聞くと、「営業マンもよく分かっていない」と言います。分からないのか、分かって言わないのか不明ですが、これは問題です。再編は特約店にとって「緊急時」です。銀行再編と同じことが起こります。

私は元売社有SSが「標準モデル」になって、コンビニ的なFC契約に近づくと見ています。特約店制度はより厳格に運用されるのではないでしょうか。その一方で、契約内容の開示と情報提供の平等に直面するはずです。拘束が強まるほどに、経産省「中小小売商業振興法」にうたわれる「連鎖化事業」に抵触してくると思います。

再編で系列内は疑心暗鬼となり、PBもまた供給停止圧力を心配します。元売はいったいどこを向いているのか、情報開示すべきと考えます。系列の方に聞いても、それがまったく分かりません。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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