vol.729『今年の流行語は?』

「新語・流行語大賞」のノミネート語が発表されると、ああ今年ももうあと少しなんだな、と思う。大賞の発表は12月3日。ノミネート語の一覧を眺めながら、今年一年の出来事を振り返り、ついでに自分の家庭や会社で起きたことなんかも思い巡らすというわけ。ただ“こんな言葉流行ったっけ”と首を傾げたくなる語も結構あるのも事実。『大迫半端ないって』とか『ダサかっこいい/U.S.A』なんて“なんじゃそれ?”って感じ。自分が世相に疎いだけか。

『あおり運転』や『悪質タックル』なんてのは、今後死語になってほしいような言葉。「あおり運転」は道路交通法26条が禁止する車間距離不保持に該当する危険運転であり、りっぱな犯罪だ。しかし、そうやって諭されたらあおり運転をやめるような奴は、そもそもあおり運転なんかしないだろう。狂人か悪魔がハンドルを握っていると思ったほうがよい。自動車メーカーは、絶対にあおり運転ができないような仕掛けを自社製品に標準装備してほしい。GS業界にも「あおり安売り」するドライバーがいるので取り締まってほしいのだが…。

政府が推進する働き方改革の一環として、来年4月から導入されるのが『高プロ』。「高度プロフェッショナル制度」の略で、高度な専門知識を有し、平均給与額の3倍相当程度以上の年収(1075万円以上)を得る労働者については、労働時間規制の対象から除外するというもの。対象とされた労働者は、自由裁量で働くことが認められている代わりに、残業代などが支払われないとされている。いまのところ対象となる職種は金融商品の開発やコンサルティング業務などだが、今後広げてゆくらしい。

将来、GS業界でも、「高度な専門知識を有し」、年収1075万円を越えるクルーが現れたら「高プロ」対象者になるんだろうか。そもそも「高度な専門知識」ってどんなものなんだろう。自由裁量といっても、人手不足も相まって結局、過剰労働を強いられることにならないだろうか。まあ、そんな心配をする前にGS業界は、その業務のほとんどをAIに奪われてしまうことのほうを心配したほうがよいかも。

今年のノミネート語には『ジタハラ』も。こちらは「時短ハラスメント」の略で、業務量は変えずに残業を減らすよう強要する行為のこと。とにかく定時に帰れと言われても、仕事が片付いていなければ叱られる。どうすりゃいいんだよ、というわけ。働かせ過ぎは駄目だが、働かせなさ過ぎも駄目─となると、24時間365日、文句言わずに働くAIが、経営者たちには自ずと魅力的に見えてくる。20年ぐらいしたら、ロボットに次々に仕事を奪われて働かせてもらえず、“ロボハラ”なんて言葉が流行るかも。

この先、世の中はどう変わってゆくんだろう。わたしたちの生活はどうなってゆくんだろう─。こんな不安が人々あいだで脱疽のように広がっているが、要は、ベストセラーのタイトルどおり『君たちはどう生きるか』ということが大切なんだろう。だれもが『そだねー』と思うのだが、生き方なんてそう簡単に分かるもんじゃない。死ぬまでわからないかもしれない。

人生を見つめなおす機会は多々あろうが、次の三つの機会に否応無く考えさせられるという。それは、命に関わる病気や怪我をした時、愛する人と死別した時、そして生活の基盤一切を失った時─。これら三つが同時に生じることがある。今年も6月に大阪で地震、7月には西日本豪雨で200人を越える人が亡くなり、その後も大型台風が相次いで上陸。そして9月には、北海道で大地震があり道内全域で『ブラックアウト』─と、自然災害によって散々な目に遭った一年だった。『災害級の暑さ』なんて言葉もノミネートされている。間違いなく来年も至るところで自然災害が生じることだろう。あすは我が身に降りかかるかも。だからこそ、一日一日を悔いのないように生きてゆきたいと思うのだが、じゃあ、きょうからどんな生き方をしようかと考えるひまもなく、雑事と凡事に追われて一日が過ぎ去ってゆく。チコちゃんに『ボーっと生きてんじゃねえよ!』と叱られそうだ。

 セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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