vol.765『原 辰徳』

読売ジャイアンツが5年ぶりにリーグ優勝を果たした。ファンとしては、嬉しいというよりホッとした。何せ、今年も優勝できなかったら、5年連続のⅤ逸となり、球団史上ワースト記録となってしまうところだったのだ。優勝を義務付けられているチームの采配を三度執ることとなった原辰徳監督の重圧は相当のものだっただろう。その証拠に、横浜スタジアムで優勝を決めた瞬間、溢れ出る涙を何度も拭っていた。

通算13年間で8度のリーグ優勝。いまや球史に残る名監督と言っても異存あるまい。原は2002年に長嶋茂雄の後を受け、44歳で監督就任、いきなりリーグ優勝、日本一となるも、翌年3位になると解任されてしまった。フロントとの対立が原因とされているが、次に就任した堀内恒夫は、どうしようもない愚将で、わずか2年でクビ。我々G党にとっても、記憶から消し去りたいような2年間だった。

2度目の就任を果たした原は、1年目こそ4位となったが2007年から3年連続リーグ優勝。2012年から2度目の3連覇。ただ、その間日本一には2度しかなれなかったことが、日本一になって初めて“優勝”したと認められる巨人軍において、原監督の評価をいまひとつのものとしているのも事実だ。しかも、この6回のうち2回は、クライマックスシリーズで2位チームにシリーズ出場を許すという屈辱も経験している。

2015年に2位となると原は“若返り”を理由に退任するが、後任の高橋由伸が3年間1度も優勝できずに終わり、再々登板となった今年、見事優勝。去年まで3連覇していた広島ファンからは“カープの至宝、丸佳浩をカネの力で引っ張ってきて、相変わらずの金権Vじゃねぇか”と批難されることは百も承知。ただ、移籍したら“裏切り者”呼ばわりするのは、もはや、時代錯誤のような気もする。それに、丸一人が加入したぐらいで優勝できるほど甘くはない。

今年の原采配で最も衝撃的だったのは、試合中の用兵ではなく、シーズンに突入する前の出来事だったと思う。それは、丸の人的保障として長野が、炭谷(西武)の保障として内海が移籍する事を良しとしたこと、つまり力が衰えてきたとはいえ、生え抜きであり、投打の功労者だった二人をプロテクトからはずしたことで、弛んでいた選手たちを一気に緊張感マックスにさせたことだ。さらに、シーズン半ばの7月には、昨年2軍で本塁打・打点の二冠王となり、岡本と共に打線の中軸を担うと期待されていた和田 恋を、楽天との七夕トレードで放出した。

長野と内海の放出には驚かなかった私も、これには愕然とした。「和田が恋する」と書いて和田 恋。素敵な名前だ。(笑) 早ければ今年後半、遅くとも来年には間違いなく打棒を爆発させると期待して、レプリカユニフォームが発売されたら購入し、ナゴヤドームの巨人戦で応援しようと思っていたのだが…。(涙) この上は楽天で大暴れして、何年後かにFA宣言してウチに戻って来てくれ!

しかし、和田の放出によって、巨人のユニフォームを着ているだけで満足しているかのようだった若手選手を戦慄させ、後半戦は次々にニューフェイスが殊勲を挙げる展開に。また、バリバリのメジャーリーガー、ビヤヌエバも、不振に陥ると容赦なく2軍へ落とす。ゲレーロや陽 岱鋼も特別扱いせず。さわやかな笑顔とは裏腹の、非情で冷徹とも言えるマネジメントで、6月18日に首位に立つと一度も明け渡すことなく栄冠を手にした。様々なスキャンダルにまみれ、決して高潔な人物とは言い難いが、勝負師としては一流であることは間違いない。

それにしても、いくらG党だからといって、セルフもガソリンもそっちのけのコラムを書いてどうするんだ、とおっしゃる方もおられるだろう。ごもっとも。でも、サウジ空爆で仕入れ価格が高騰し、まもなく消費税率も引き上げられるというのに、いまだ120円台でガソリンを販売しているお馬鹿な業界のことなんか書く気になれないのだ。

セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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